経済

日銀・黒田総裁の一言で円急騰 甘利大臣火消しに回る

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 日銀の黒田東彦総裁が国会で「さらに円安に振れていくことはありそうにない」と発言したことで、円買いドル売りに集中し、1ドル=124円台半ばだった円相場は一時122円台半ばをつけ、2円ほど急騰しました

 甘利明経済財政・再生相は「(総裁が)『あれは黒田バズーカ第三弾ではない』と明確に否定していた」と明かし、市場の動揺をやわらげようと努めたほか、日銀の事務方なども火消しに回っている模様

 現在の円の実質実効為替相場は高度経済成長期の終焉直後と同等。輸出企業には非常に有利な状況ですが、円安が進みすぎた結果、輸入品を買うことも多い中小企業や家計などに悪影響が起きることが懸念されています。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q「黒田バズーカ」とは何のことですか?

A今までは、黒田日銀総裁が仕掛けた異次元の金融緩和のこと。

 バズーカ砲は、大型の火気でとても威力がある。それにかけて、通常でやる金融緩和ではなく、異例の「幅」や「規模」で行った金融緩和のことをいう。市場の予想以上の規模だから、インパクトがある政策ではある。

 今回の甘利大臣が言う「黒田バズーカ」とは、みんなの予想を超えた黒田総裁の仕掛けということだろうから、そういう思惑で言ったものではない、と明確に否定したかったんだ。だって、一気に円高に進んでしまったので、それではせっかくの景気回復に冷水を浴びせかねないから、火消しに躍起になるよね

 要人のこの発言だけで一気に円高に振れるわけだから、いかに日銀の金融政策が市場を左右するかわかる。金融相場から脱していない気がするね。
(実体経済が良くなるとき、金融施策によって市場が上昇する金融相場から、企業の業績などによって株価が上昇する業績相場へと移るのが理想)
(佐藤尊徳)

[参考:「総裁発言 円安けん制か 株も続落 市場は『125円の壁』意識」(日経新聞朝刊3面 2015年6月11日)]

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