経済

株価の割安性を判断するPER・PBR~より理論的に投資する

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投資効率を求める上で、株価が”割高”か”割安”かの判断はとても重要。その指標になるのがPERとPBRだ。これらによって企業の業績と株価を結びつけて考えられるようになれば、より理論的な投資ができるようになる。

投資はじめて物語 3ヵ条

[1]簡単・実践的
[2]儲けに走らない
[3]すべては自己責任

一歩進んで、より理論的な投資を

株で利益を出すためには、安く買って高く売ることが基本。そのためには、将来的に価格が上がる銘柄を選ぶことが不可欠だ。株価チャートで過去の推移を見て判断するやり方もあるが、それだと経験や勘に頼るところが大きい。

その点、企業の収益と株価を比較するPER(株価収益率)と、自己資本と株価を比較するPBR(株価純資産倍率)という指標を使うと、経験が少なくてもより理論的な判断ができるようになる。どちらも「株価」とほかの尺度を比較するもので、”外す”可能性を低くするためにも積極的に使っていきたい方法だ。

企業の実力に株価は伴っているか

PERは、株価をその企業の利益と比べた指標(※1)のこと。企業がある期間(大体1年)に行った事業によって生み出した稼ぎから、原価や販管費、損失などを除いて最後に残った金額、当期純利益(=最終利益、純利益)に対して、株価がどの程度の評価を受けているかを知ることができる。

PER計算式

未来の株価動向への影響を測るためには、通常、今期もしくは来期のEPS(1株当たりの利益)を使用。EPSは、Yahoo!ファイナンスの参考指標などに表示されているので自分で計算する必要はないが、意味はちゃんと知っておこう。

当期純利益は企業の実力を示すといわれ、PERを使った判断は、企業の損得計算書に照らし合わせて投資を考えることを意味する。株価チャートによるテクニカル分析とはこの点が異なることを意識したい。

PERは期間違いや業界単位で比較

一般的にPERが低いほど株価は割安で、高いほど割高だと考えられている。人気のある株ほどPERは高くなりがちで、過剰に評価されているとわかると急激に株価が下がることも。しかし、明確な目安を出すのは難しい。なぜならPERは、同企業の期間違いや同業種で比較するのに有効であって、単体で測る客観的な指標ではないからだ。

例えば東証一部の建設業の平均PER(加重)は20倍程度だが、マザーズのIT系は200倍を超える。ちなみに、2016年3月2日の東証一部全銘柄の平均PERは15.36倍(日経新聞)だ。業界の水準が全然違うのだから、それらを個別に比較しても何の意味もないということ。

純利益1億円の企業が100万株を発行しているとすると、1株当たりの利益は100円。株価が1000円ならPERは10倍だ。来期は増収が見込めるため、1株あたりの利益が200円と予想された場合、PERが同じ10倍なら、株価は2000円まで推移するだろうと判断できる。また、同業種の平均PERが20倍の場合、PER10倍は割安なので、将来的に2000円まで推移するだろうと考えられるわけだ。

ただ、「割高に売りなし、割安に買いなし」といわれるように、価格がそうなっているのにはそれなりの理由があって、割安だからといって安易に手を出すと思わぬ損をする場合もある。あくまでほかの指標と合わせて判断し、実力はあるが何かの理由で”割安になっている株”と、業績が良くないために”安くなっている株”を見極めることを心掛けよう。

PBRでわかる解散価値

PBRは、株価をその企業の資産と比べた指標(※2)。「解散価値」ともいわれ、企業が解散した際に株主に返される金額感を表す指標だ。純資産は、企業が解散する際に、在庫や不動産などを現金化して、すべての負債を返済した後に残った金額のこと。持ち株数に応じて株主に分配される。

PBRが1倍ということは、株価と保有資産が同じということ。1倍以下だと保有資産に対して評価が低く割安だということを示す。解散した際、投資した以上のものが返ってくるかもしれない。

ただし、企業の成長性が考慮されていないことや、資産に不動産などが含まれている場合は地価の変動に影響を受けることなどに注意。PERと同様に、PBRも複数の指標とともに使用するものだ。

PBR計算式

株価チャートなどで投資先を判断する方法はスピーディだが、PERやPBRなど企業の業績に絡んだ”分析”は考えることも増え、収益以上に得るものは大きい。企業や社会への関心がわくことも投資のメリットと考え、積極的に使っていこう。