投資で得られる収益を知る~資産クラス別の期待リターン

2016.3.10

経済

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ペイオフ解禁以降、預金を含めたすべてのお金の運用にリスクが伴うようになった。といっても度合いは大小さまざま。投資を始める前に、どんなものにどれだけのリスクがあり、どれだけのリターンがあるのかを知っておこう。

「期待リターン」はどのくらい?

投資をする際、「どのくらい儲かるの?」と多くの人は考えるだろう。しかし、残念ながら投資は、預貯金のように確定利付きではない。つまり1年後、あるいは5年後に、投資した100万円がいくらになるのかを、現時点で計算することができない。したがって、過去の値動きから計算した平均値をベースにして、どの程度のリターンが期待できるのかを計算する。これが「期待リターン」と呼ばれるものだ。

実際、各資産クラス(投資対象のグループ)の平均リターンはどの程度になるのだろうか。いくつかサイトを調べてみたが、恐らくこれが最も詳しく、直近までの平均値が計算されている。ASKという運営者のサイトから引用すると、平均リターンは次のようになる。

資産クラス別の平均リターン資産クラス別の平均リターン※2001年~2014年の年平均値。

国内株式/先進国株式/新興国株式

上場している株式会社に出資する株式投資。株主にとっての利益は、株価上昇による売買で得られるキャピタルゲインや、配当によるインカムゲインのほか、株主優待によってもらえる商品や受けられるサービスもある。

国内債券/海外債券/米国債券/新興国債券

債券投資は、国や自治体、企業、金融機関などの発行体にお金を貸すこと。償還日(返す日)が決められていて、発行体はそれまでの間に貸し手に金利を払う。固定金利型、変動金利型がある。途中で売却も可能だが、その場合、元本保証はされない。

J-REIT/海外REIT

REITは、投資家から集めた資金を不動産で運用し、賃貸収入や売却益を分配する不動産投資信託のこと。上場・非上場を問わない。J-REITは、国内市場に上場されている会社型不動産投資信託に出資する。分配金は株式より出やすいが、金利上昇によって減る可能性も。

米国ハイイールド社債

格付機関による格付けが低い”ジャンク債”と呼ばれる社債への投資のこと。主にアメリカが大きな市場。「債券」だが高利回りのプロ向き商品で、投機的な要素が強い。米ドル建てだと為替の影響を受ける。

コモディティ

実物資産を扱う先物取引のこと。原油やガスなどのエネルギー、金・銀・プラチナなどの貴金属、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物、銅・アルミといった非鉄金属などが対象。最近はETFなどの上場投資信託を通して株式と同じように売買できるようになっている。

高いリターンにはもれなく高いリスクが付いてくる

一応、13年間投資した場合の年平均リターンは、いずれもプラスになっているが、注意しなければならないのは、年によって大きくプラスになったり、大幅なマイナスになったりしていることだ。

たとえば日本株は東証株価指数(TOPIX)を用いているが、過去13年間で最も高いリターンを上げたのは2013年で、45.5%の上昇率を記録したが、逆にリーマンショックが起った2008年は、47.0%のマイナスとなっている。また、平均リターンが日本株よりも高いJ-REITの場合、2008年のリターンは60.5%のマイナスだ。

逆に、国内債券のリターンは、ほぼ全期間にわたってプラスを維持。ここで挙げた資産クラスの中で、最も年平均リターンは低いが、マイナスになったのは2003年のマイナス0.7%だけである。高い期待リターンを求めると、それに見合ったリスクも、もれなく付いてくるということだ。

リスクコントロールが投資の肝

これが投資の難しいところで、確かに、年間で2ケタのリターンが期待できる投資対象は、探せばいくらでもあるが、ハイリターンが期待できる投資対象は、一方で大きく損をするリスクも受け入れなければならない。そのリスクを受け入れたことによる報酬が、預貯金とは比べ物にならないくらいの高いリターンなのである。まさに”ハイリスク・ハイリターン”というわけだ。

ところで、”ハイリスク・ハイリターン”という言葉の意味には注意する必要がある。決して、高いリスクを取れば、高いリターンが確実に得られるという意味ではない。高いリスクを取ったとしても、リターンがマイナスになることが、往々にしてある。このリスクをいかにコントロールするかが、投資の肝でもある。