「ベテランが本気で支えたくなる若手が必要」民進党 政調会長・山尾志桜里議員が見た 野党執行部からの景色

2016.09.12

政治

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民進党の政調会長に抜擢され、予算委員会で待機児童についてのブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」を取り上げたのをきっかけに世論を動かすなど、2期目にしてすでに知名度は全国区。若くして執行部に入った山尾議員の目には、昨今の民進党の体たらくはどう映っているのだろうか。

山尾 志桜里 やまお しおり

1974年7月24日生まれ、宮城県仙台市出身。東大法学部卒。2004~2007年、検事として司法に携わる。2009年の衆院選で初当選。2012年の衆院選では落選、2014年に再選すると民進党の政調会長に抜擢される。予算委員会での安倍総理に対する厳しい批判で注目を集めた。小中学生時代はミュージカル「アニー」で初代アニーを演じた。

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――2期生で三役をやるのは通常考えられないことですが、半年前、政調会長に抜擢されました。執行部に入ってどんな違いを感じましたか。

私は今国会、待機児童問題を取り上げました。安倍総理とやりあうなかでわかったのは、今の政権には、市井の声から出てきたこの問題に真剣に取りあう気はないということです。だとしたら、そういう社会保障の部分を担うのが、わが党の大きな役割なのだと思います。

子育てを含めた社会保障の問題が社会化されて、そして政治の中心的な課題になったということまでは、一歩前に進めたことだと思います。そのさなかで政調会長になって、本来であれば、二歩目を進めるために、待機児童に象徴される社会保障のパッケージと、それを実現するための責任ある財源論を打ち出すところまでやるべきでした。

それを参院選のマニフェストまで進めることができなかったのには、私自身の責任を感じているところです。自分の中の成果と、それを進めるための力量不足を両方感じたこの半年でした。

一方で、2期目で執行部の一翼を担って、そこで”まとめていく執行部の苦悩”というものを実感できたのは得難い経験でした。

山尾2

――政調会長から見て、民進党はなぜ国民の支持を得られないのだと思いますか?

支持率を上げる、つまり政局を打開するためには”政策”を打開しなければダメだと、政調会長として感じました。異論もあると思います、今の民進党は政策うんぬん言っている場合じゃないだろうと。それでもなお、政局を打開するためには政策を打開することが必要です。

今の民進党は、全国の地方議員や総支部長、国会議員を含めて、ワンボイスで「これを伝えたい」という共通項を持てていません。それぞれの議員の力量の中で伝える個別の政策はありますが、語るべき”中身”が統一されていない。パッケージになっていない。政党の哲学ですよね。いま民進党はそれを探し続けて、もがき続けているのではないかと思います。

――民進党のワンボイスは社会保障を充実させるということですか。

本気で幼児教育の無償化から大学の無償化までやろうと思ったら、その財源が3兆円弱かかります。その3兆円を全部、行革、ムダ削減で出せるかといったら出せません。国債で賄えるかといったら、影響が大きすぎてやりきれないわけです。

そのなかであい路を辿ったときに、どこにお金があるのかというと、次に消費税を10%に上げるときの5兆円でしょう。でも、今のままではそのうちの4兆円は借金返済や借金が増えるスピードを遅らせるために使われて、社会保障の充実には1兆円しか使われないという約束になっているわけです。

私は増税に踏み切った野田政権の一部を評価しますが、5分の4を借金返済にしたら、国民の納得は得られなくて、現実的にこれ以上の増税はできないようになっているわけです。その使い道の配分を思い切って変えて、もう少し負担をすると、あまねくサービスがきちっと穴埋めで返ってくるという、社会保障と税の一体改革のセカンドシーズンを作ったほうがいいと思います。

 

山尾3

ポッカリ空いたど真ん中の中道を担う

――2015年の代表選で岡田克也氏が選ばれたとき、またオールドエコノミーがやっている……とガッカリしましたが、どちらかといえばそちら側の前原誠司氏を支持する理由は何ですか。

一つは社会保障に対する考え方です。参院選で政調会長として全国を回ったとき、政策面で民進党に求められているのは、まじめな財源に裏打ちされた、新しい社会保障の描き方だと感じました。

そんななかで、前原さんは、それまでのイメージからすると意外な”All for All”という中福祉中負担の、みんなでみんなを支え合うという提案をされました。

この先、社会保障の問題を幕引きにできないというなかで、やり切れなかった自分の責任の取り方と重ね合わせたときに、前原さんの哲学を通じて全うしていきたいと思ったのです。

私は今回の代表選は、民進党政権の総理になるかもしれない、そういうリーダーを決める選挙だというふうに認識しています。そういう観点で前原さんを支持しました。

――では、民進党は今後、どういう人たちの受け皿になっていきますか。

例えばアメリカでいうと、政治的にリベラルだとか保守だとか、自分のアイデンティティはいずれかにあるというような感覚が自然にあります。ですが、日本の場合は多くの人が自分をそういった色づけをしていません。

民進党は、極端に右傾化している安倍政権の下で、空いているど真ん中を担っていくべきだと思います。これが大前提。

ただ、リベラルな政治的アイデンティティを持っている方たちは、選挙になったときに一緒に戦って輪を広げてくれます。そういった方たちの手は離してはいけないとも思います。

大事なのは、政治家としての発信力で、いかに政治的なイデオロギーがない中道の皆さんに、自分の支持を広げていくかということ。そういうイメージで私は選挙を戦っています。

山尾4

――世の中は与党の情報ばかりですが、野党である民進党はどのように発信していきますか。その手段は。

トップを含めた大きな見え方の転換で発信力を強めていくのは、一つの方法だと思います。

一方で、地方で発信力がある地方議員が、地域の方との世間話のなかで、政党の四方山話を広げていくというのはすごく影響が大きいと思います。そういう根っこの生えた地方議員をどれだけ覚悟を決めて、次の統一地方選挙までに準備をしていくか。地味ですが、すごく大事な課題です。

地方は自民党がとても強い。そんななかで、そういう方たちがジワーッと広げていく政局話というか、政治の裏側とか、そういうものが地域の雰囲気を染めていく力がありますから。

そう思ったのは、今回の参院選です。北海道、東北、新潟は強かったのですが、西日本はダメで。西日本に行ったら、民進党の地方議員は大変な状況で、私がマイクを持って司会進行するような地域もたくさんありました。これでは政策的に民進党がメリットを持っていても、伝わらないよなと感じました。”国会議員政党”から脱却しないといけないと思います。

政権を担う政党になるために必要なのは多様性

――前回の衆院選は与党が強かったのもあって、いまの野党は1、2期生がとても少ない状況です。そんななかで、民進党の若いエネルギーは感じていますか。

このところ総支部長で頑張っておられる30代~40代の方とお話する機会が多かったのですが、その方たちがすごく良いんですよ。

安倍政権の極端な右傾化をひとつのきっかけとして、飛び出してきてくれた人たちですが、オールドリベラルかといったらそうではない。ど真ん中の中道を担う民進党の一員になりたいという思いで、手を挙げている総支部長がすごく多いのです。

これからの民進党に若手は絶対に必要。今、入ろうと思ってくれる方たちは、相当に骨のある人たちですよ。腹の決め方が違います。

ただ、ベテランの皆さんが本気でこの人を支えてやろうという若手がちゃんと育つまでには、あと数年はかかると思います。でもそういうポテンシャルを持った仲間がたくさんいることが民進党の希望です。

――新しい代表の下、民進党は生まれ変わることはできるでしょうか。

ベテランばかりの政党に未来はありません。しかし、本当に政権を担おうと思ったら、若手と中堅とベテランがいて、多様な世代がそれぞれ屋台骨を担うことが大事。民進党には世代交代というよりも、そういう多様性が必要です。

あと数年のなかで今の1~3期生が執行部を経験し、政権と対峙したり、ほかの野党と対峙したりということを経験して厚みを増し、そこに骨のある1期生がたくさん入って来る。そして上には、政権の中枢を担い、失敗した先輩方がいる。彼らがその失敗を私たちに伝えようと”支える世代”に入ってくれたとき、民進党の中の風景はより良くなると思います。それが、私が思い描いている民進党の姿です。

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