ギリギリセーフの「非エリート論」

ビジョン・コンサルタント 別所諒のギリギリセーフの「非エリート論」 第1回「塀の上のネコ」

2014.3.10

ビジネス

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「なぜ仕事をしなければならないのか?」と考えたことがあるでしょうか。当然ながら、この質問は、仕事が面白くない時に自分に投げかける質問です。逆に「なぜ、こんなにも仕事をしたいと思うのか?」と考えたことがあるでしょうか。仕事が楽しすぎて、休んでなんかいられない。寝る時間がもったいない。隙があれば仕事をする。そういう人は自分に問いかけたりしませんけどね。ビジョン・コンサルタントの別所諒が、どんな人でも一度は陥るそんな悩みを解決する方法を教えます。

第1回「塀の上のネコ」

はじめまして。僕はビジョン・コンサルタントの別所諒です。ビジョン・コンサルタントの仕事は、文字通り「自分がやりたいビジョン」を実現する方法を考えることです。クライアントは、カウンセラーやセラピストなどの個人事業者から、スタッフ数100名位の企業様。要は人の夢を応援する仕事なのですが、そんな仕事が成立するのか?と不思議に思う人もいるかもしれませんね。でも、少なくとも、僕はその仕事で食べています。

ここまでお話しすると、「よくわからないけど、楽しそう」だと言っていただけます。実際、楽しいです(笑)。寝ないでも仕事ができる体力があればと思います。

しかし、10年前までは毎日、「なぜ仕事をしなければならないのか?」と悶々と考えていました。当時は中小企業のサラリーマンで、すでに3回転職をしていて、いわゆる学生時代に描いていたエリート街道からはドロップアウトしていました。

ちなみに、僕が考えていたエリート街道とは、大企業に入って、企画とかの仕事をして大きなプロジェクトを成功させて、出世して行くというイメージです。ドロップアウトしたつもりでいたので、どんなに自分に質問をしても、答えなんて出るはずもなく、というか求めていた答えは「どうすれば楽しい仕事ができるのか」であり、平たく言えば「やりたい(かっこいい)仕事で、楽しく働けて給料の多い会社はないかな?」だったわけですから、考えても意味がありません。完全に他人の力を当てにしていますからね。

そんなに都合のいいことは起こることもないので、30代の半ばまで僕は悩み続けることになります。よくある成功話であれば、ここで独立起業をしてアップダウンがあって成功するパターンなんなのですが、独立なんてする勇気はありません。「誰か、成功しているベンチャーの社長が片腕にしてくれないか」。相変わらず、そんな都合のいいことを考えていたわけです。30半ばでね。

ところが、あったんです。そんなに都合のいい方法が。僕は某ベンチャー企業の取締役になり、年収は1,000万円を超えていきました。この方法は、「普通のサラリーマンが年収1000万になる方法」(アスコム刊)という本になって出版されています。自分で書いておいて言うのもなんなのですが、この本はいい本で、後から考えればマーケティングでいうところの、「ブルーオーシャン戦略」だったわけです。しかも、再現性がある方法なので、エリート街道から外れたと思っている人にはおすすめします。

給料に不満のある人は、「サラリーマンのブルーオーシャン戦略」で収入を上げることができます。役職を上げたい人も同様です。しかし、先にお話ししておくと、それだけでは満足できないのです。収入が増えたらうれしいけど、それが当たり前になるとやっぱりもっと欲しいと思います。しかも、年収1,000万円は、贅沢をできるほどの収入ではありません。時計、車、住宅なんて買ってしまうと(僕のことですが)、貯蓄なんてできません。ある統計によれば、年収1,000万の家庭が一番苦しいというのも納得できます、経験上。

こうして仕事への不満だと思っていたお金の問題を解消しても、不満はなくなりません。もっと稼げばいいのかというと、当時よりも収入は増えていますが、それでは解消できなかったということもわかります、経験上ね。なぜかというと、「何のために仕事をしなければならないのか?」という悩みの根本は、自分で決断していないということにあるからです。

自分で決めたことを自分の思い通りにすることができれば、人はその行動に疑問なんて持ちません。誰にも干渉されなければストレスもありません。そういう、究極に都合のいい話をしているわけですが、僕はとうとうその方法を見つけました。まさに、ドロップアウトしたのに実はギリギリセーフだった”ドロップセーフ”。

このドロップセーフの技術を身につければ、今がどんな状況でも、ストレスフリーの仕事ができるようになります。そのための武器をこのコラムでは紹介して行きたいと思います。

ドロップセーフの武器のひとつは、「モノの見方」。例えば、「なぜ働かないといけないのか?」と考えたとき、働くことを前提にすれば、かつての僕の思考パターンに陥ります。しかし、世の中、「働かなくても生きていける方法」を考える人もいるわけです。このタイプの人は、全く違う思考パターンで物事を考えます。

いわゆる視野を広げるという話ですが、見えているものを広く見てもあんまり意味がありません。モノの見方を変えるとは、意味を変えるということです。この点は、毎回のコラムでいくつかのモノの見方を提案していきますね。

モノの見方を変化させることで、働かないと生きていけないというのは単なる思い込みだということがわかります。昨年の流行語で、「いつやるの? 今でしょ!」というのがありましたが、「今やるか、一生やらないと決めるのか?」というものあるわけです。それだけ決断というのは簡単ではないし、無理に決断をする必要などなどありません。

こんな話があります。塀の上に2匹のネコがいました。2匹のネコは塀の向こうに広がる世界を見ていました。どうらや、塀の向こうの世界は魅力的らしい。しかし、飛び降りてうまく着地できるかどうかはわからない。そこに行くまでには危険な道を通らなければならないようです。考えた時末に、1匹は飛び降りることを決断しました。

さて、塀の上には何匹のネコがいるでしょうか? 答えは2匹です。引っ掛け問題ですが、「決断した」と書いただけで、「飛び降りた」とは言っていませんよね。それくらい決断してから行動するのは易しくはありません。だから、「決断できない」と悩んでいる人がいたら、悩む必要はないと断言することができます。決断した人が偉く見えても、多くの場合は塀の上のネコなのです。

決断の多くは、「決断したけど、まだやっていない」。つまりは、「絶好のタイミングが来たら行動するという決断」をしたに過ぎないのです。結局のところ、今日どう生きたかが、その人の決断になります。だから決断していないと思っても、「決断できずに一日を過ごす決断をした」ということです。単にそれだけなので、決断をしない自分を責める必要はありません。

こうして、ものの見方を自在に変える、これこそがドロップアウトしてもセーフで生きられるポイントです。政治や経済、どんなモノの見方をすれば自分の武器にできるのでしょうね。斜めに見ながら、行ってみませんか?