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佐藤尊徳が聞く あの人のホンネ

世界一の企業になる~SBCメディカルグループ相川佳之総括院長×RIZAPグループ瀬戸健社長×政経電論」編集長 佐藤尊徳

2016.11.10

企業

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写真/芹澤裕介 文/赤坂麻実

GDP世界3位を誇る日本でも、世界の誰もが知る企業というのは数社しかない。そのうち”世界一の企業”と呼べるのはほんのひと握りだ。そんななかで、世界的総合病院の米メイヨー・クリニックを超えることを目標に掲げるSBCメディカルグループ・相川総括院長と、「健康」をテーマに世界一を目指すRIZAPグループ・瀬戸社長は、少し特異な存在かもしれない。彼らの内に秘めた世界一への思い、戦略について、2人の友人でもある尊徳編集長が深掘り。

目的ではなく手段としての世界一

尊徳 2人とも、経営する企業で「世界一を目指す」と公言しているけど、売上高だったり、時価総額だったり、いろいろ指標があるなかで、何の世界一を目指しているのでしょうか?

相川 うちは「究極の三方良し」といって、患者に愛され、スタッフに愛され、社会に貢献する企業を目指しているので、医療の世界でそれを表す数字は患者数になると思います。どれだけの患者さんに、「この病院に診てもらいたい」と思ってもらえるか、”人気投票”で世界一になるということです。

おかげさまで、美容系のクリニックでは患者数日本一を創業から約15年で達成できたので、今度はまた15年かけて、ほかの科も加えた医療全体の日本一(の患者数)にして、その次にまた15年かけて、やはり医療の世界一(の患者数)を目指します。その過程で、2020年には300床以上の総合病院を都内に持つ計画です。

尊徳 世界一ってとてつもない目標だけど、それに対してどんなアプローチが必要か、理路整然と考えているんだね。掛け声だけじゃ到底達成できないものだし。

瀬戸 僕は世界一を目指すとは言っていますが、それ自体が目的なわけではありません。人生を楽しみ、事業を楽しむために、世界一を目指すというか。世界一を目指すとなると、ハンパない障害が次々に出てくるので、世界一を叶えようと集まった仲間と一緒に泣き笑いしながら、そのハードルを越えていくことが、僕の目的です。

僕にとって何が自分の満足につながるかといえば、お客様に僕らのサービスを「良いね」と言ってもらえることが一番なんですよ。良い家より、良い車より、それが一番、自己肯定感につながる。だから最終的には、RIZAPの商品・サービスを通じて「人が変われるという証明をして、世界にうねりを起こした企業」になりたいんです。そうなったときには、結果的に世界一といえるような売上高や時価総額もついてくるはずです。

瀬戸健

「人が変われるという証明をして、世界にうねりを起こした企業」になりたい(瀬戸)

写真/芹澤裕介

いつも胸にあるメイヨー・クリニックへの挑戦

尊徳 なるほど、自己肯定感か。相川さんは、なぜ世界一を目指そうと思ったの? 何か、きっかけはあった?

相川 世界一の医療機関といわれる米メイヨー・クリニックの本を読んだのがきっかけですね。メイヨーは約170年の歴史がある総合病院で、医師の育成や報酬にも独自の制度があり、理想の医師を自前で育てる環境を持っています。その在り方に共感して10億円規模の寄付をした人が、これまでに100人以上いるそうです。僕もそんなメイヨーに感銘を受けて、自分の代でメイヨーにどこまで迫れるのか、世界一を目指してみようと思いました。それまでは、美容で日本一になることまでしか考えていませんでしたね。

相川佳之

自分の代でメイヨー・クリニックにどこまで迫れるのか(相川)

写真/芹澤裕介

尊徳 メイヨーの写真を持ち歩いて、それを見ては志を強くしているんだってね。もし「美容で日本一」を最終目標にしていたら、もう達成して気が抜けていたかもしれないから、そういう意味では世界一を目標にしていて良かったんじゃない?

相川 そうですね。美容外科以外の科に挑戦するのは、自分の勉強になるし、モチベーションも上がります。先ほどの瀬戸さんの話もそうだと思いますが、世界一を目指していれば、ずっと挑戦していられるんですよね。

瀬戸 そういうことです。僕は何かキツいことがあっても、この苦労は後で自慢話になるなと思っている自分がいたりして、先に見ているもの(世界一)はずっと変わらないですね。

世界一を目指す経営者はやっぱり普通じゃない?

尊徳 マイクロソフト、アップル、フェイスブック……世界一になる企業は限られているけど、それができるかどうかはやっぱり経営者にかかっているよね。人間的には欠落したところがあっても、何かすさまじいものを持った人が、大きなことを達成するんだと思う。ビル・ゲイツしかり、スティーブ・ジョブズしかり、マーク・ザッカーバーグしかり。単なる「良い人」だったら絶対成功していないんじゃないかな。そういう意味で、2人は自分のことをどう思う?

相川 僕はすごく堅実ですよ。ずっと借金もせずに経営してきました。まず、医療の特性として、病院を100個造ろうとしたところで、(専門技術を持った)人材あってのことなので、コツコツやるしかないんですよね。

技術革新や構造改革にはすごく興味がありますけど、病院は勝手に建てられないですし。今もアメリカに病院を設置しようとしていますが、既存の病院を買って現地で医師を採用していくことになると思います。だから僕は今、M&Aの技術を身に着けることが急務ですね。

瀬戸 僕は自分で「頭がおかしいのかな」と思うこと、あります(笑)。でも、100人の中で一番になろうと思ったら、他の99人より情熱を持って努力するのは当たり前だし、世界一になろうと思ったら、いろんなこと、普通のスピードでやってはいられないですよね。「こんなにゆっくりしていられないぞ」と毎日思います。

尊徳 偉いなあ。僕なんか、明日でいいことは明日やろうと思っちゃうよ(笑)。やっぱり2人とも、目標までのとてつもない道のりを逆算して、今やるべきことを考えられているのがすごい。

佐藤尊徳、瀬戸健、相川佳之

世界一を目指すなら、ちょっと欠けたところがあるのもいいと思う(尊徳)

写真/芹澤裕介

失敗を恐れず、間違えても修正して前進

尊徳 世界一を目指すなら、ちょっと欠けたところがあるのもいいと思う。完璧な人はつまずいたら立ち直りにくくて物事を達成できない気がする。2人はへこたれないよね。僕がけちょんけちょんに言っても、関係性は続いていく。嫌なことを言われたら、その相手ともう付き合わないっていう人も少なくないのに。世界一へと歩んでいく過程では、批判もあれば失敗もあると思うけど、それは織り込み済み?

瀬戸 確かに、失敗をそんなに怖がってはいないですね。世界のビリオネアは会社を平均3.4社つぶしているそうなんですよ。だから、僕も4回はチャレンジしようと思っていました。たまたま、1回目でうまくいきましたけど。もし4回目も失敗に終わっても、僕と奥さんが就職すれば、2人で月に40万円ぐらい稼げると思うし、40万円あれば夫婦2人、結構良い生活ができますよね。そうやって”最悪”を想定してみても、そんなに最悪じゃないから、怖くないのかな。

尊徳 瀬戸さんは大企業の経営者なのに、夫婦2人40万円で結構良い生活ができるって言えちゃうのは好感度高いなあ。お刺身を買いに行って、かまぼこだけ買って帰ってきちゃったっていうぐらい、プライベートでは節約してるって言っていたもんね。相川さんは? 失敗したとき、例えば年次目標を達成できなかったときはどうする?

相川 やり方を変えて、次の1年か2年かで取り戻します。毎年、同じような成長率でいくのが理想ですが、いろいろな要素がありますから、そこは柔軟に考えればいいんだと思います。

僕は美容でトップに立って、さっそく新しい科に取り掛かろうとしていたんですが、熊谷さん(GMOインターネットの熊谷正寿社長)から「”圧倒的”トップに立ってからにしなさい」とアドバイスを受けて、シェア50%を取ってから次の科に進むことにしました。ゴールは変わらないけど、そこまでのアプローチは随時変えていくつもりです。

「世界一」を公言して仲間が増えた

尊徳 世界一を目指すと公言することで、従業員の目の色が変わるとか、周りからの手助けが得やすくなるとか、そういう効果みたいなものはあった?

相川 人事採用に結構効いているのかなと思います。うちに入ってくるのは、世界一になりたい人ばかりで、「これぐらいでいいや」と現状に満足する人は入ってこない。バスに「○○行き」と掲示があれば当然、そこに行きたい人が乗ってくるのと同じですよね。

それから、スタッフに目標を周知することで、みんなが世界一になる方法を考えてくれます。例えば、タクシーに目的地を告げなかったら、「この道まっすぐ行って3つ目を右に曲がって」と細かく指示しないといけないけど、「○時までに○○へ行ってほしい」と言えば、最適な行き方をドライバー自身が考えてくれるじゃないですか。それに似た効果はありますね。

相川佳之

目標を周知することで、みんなが世界一になる方法を考えてくれる(相川)

写真/芹澤裕介

瀬戸 僕も同じです。付け加えるとすれば、フィルタにかかるものが増えることでしょうか。例えばコンビニの看板を思い出してほしいんですが、イラストマークの下に文字が入っているものがあります。でも、ほとんどの人は日常的に見ていながらそれを認識していませんよね。視覚的に見ているのと、認識できているのは違う。

人間、興味のないことは認識できないものです。そういう意味では、「僕らは世界一になる、そのためにこの部署では日本一の広報チームを作ろう」と声をかければ、必要な人や参考になりそうな情報が彼らの目に留まるようになります。そうすると、チャンスを逃しません。

僕もそうで、新聞を読んでいても仕事をしていても、いろんなものがフィルタにかかってきます。目標を持てば、すぐに達成できなくても、その日からパフォーマンスが変わってくるものなんだと思います。

瀬戸健

目標を持てば、その日からパフォーマンスが変わってくる(瀬戸)

写真/芹澤裕介

尊徳 だったら、僕は何の世界一を目指そうかな。態度のデカさか生意気さなら、結構いいセンいくと思うんだけど(笑)。

株式会社損得舎代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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