尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.ストックオプションの購入価格と行使価格はどのようにして決まるのですか?
A.適当です(笑)。
いくらでもいいのですが、企業価値をあまりに下げるようでは株主が納得しないでしょう。役員退職報酬として、1円を行使価格にする企業もありますが、これは特別な話です。
通常、権利が付与されてすぐに行使できるわけではありません。将来、企業価値が上がれば、その株価で自社株が買える権利なので、付与された時点の株価より、若干高いことが一般的です。自社の株価が割安だと思えば、公正価格として安くしてもいいのですが、それでは企業価値を上げるモチベーションがあがりませんよね。
ただ、ストックオプションは、上場企業か将来上場する見込みのあるベンチャー企業でなければ、付与されても意味のない制度です。
Q.「カルビー」の社員が100万株近いストックオプションを行使したようですが、市場へ影響はないのですか?
A.100万株を一気に市場で売れば暴落します。「カルビー」の一日平均の出来高が数十万株ですから。
ストックオプションを行使するということは、決められた価格で自社株を買い、利益を確定(株を売る)して現金化するのが多いでしょう。そのまま株を持っていてもいいですが、それなら期限までは慌てて行使しなくてもいいでしょう。
ストックオプションを行使させるには、持っている自社株(金庫株という)を放出するか、新たに新株を発行(株式の希薄化が起こるので、一株価値は下落する。企業の価値は時価総額で算出され、それを株式数で割れば一株の価値が決まる。それが現在の株価)するしかないので、現時点では株価の下落要因です。しかし、それで社員のモチベーションが上がれば、企業価値が上がって将来的には株価が上がる要因になるでしょう。
Q.報酬をストックオプションで与える企業が増えている理由はなんですか?
A.増えているんですかね?
以前、成果報酬型の企業が増えましたが、日本にはなかなか根付かないということで、下火になりました。
ストックオプションの”行使”が増えたのは、過去に付与された権利が、アベノミクスにより株価が上がって、行使できるようになったからではないですか?(佐藤尊徳)
[参考:2014年4月22日 日経新聞 2面「株高が役員・社員潤す ストックオプション 自社株で報酬」]
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