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政治

希望の党失速 野党つぶし合いで安倍自民が漁夫の利?

2017年10月12日
読了時間: 03分00秒

文/山本洋一

安倍晋三首相が解散を表明してから数日、安倍自民が警戒していた野党共闘は不発となったが、目まぐるしく動く各党の状況から選挙の未来が少しみえてきた。

サプライズ続きな激動の選挙

第48回衆院選が10日公示され、12日間の選挙戦の幕が切って落とされた。安倍晋三首相率いる「自民党、公明党」の連立与党と、小池百合子都知事が立ち上げた希望の党と日本維新の会のグループ、民進党のリベラル派が結成した立憲民主党と共産党、社民党のグループによる三つ巴の戦いだ。自民党内では小池人気への警戒感が強かったが、ここにきて希望の党は失速気味。安倍政権が漁夫の利を得るのではないかとの見方も出ている。

安倍首相による電撃的な解散から始まったこの選挙。小池氏が希望の党を立ち上げて自ら代表に就任、民進党の前原誠司代表が希望の党への合流を表明、民進党内のリベラル派が立憲民主党を設立と、大きなサプライズが相次いだ。「何がどうなっているのかわからない」という有権者も多いに違いない。

論点を整理すると、今回の選挙で問われているのは「安倍政権の是非」だ。政権発足から5年近く経過し、政権の傲慢さが指摘されるようになった。政権の長期化により「首相官邸の力が増大し過ぎた」との声も出ている。その結果が流行語にもなった「忖度」(そんたく)政治であり、森友学園問題や加計学園問題、いわゆる「モリカケ」問題である。

"希望"になれない穴だらけの受け皿

本来、政権への不満の受け皿となるべきは野党第一党だった民進党だが、民主党政権時代の"負のイメージ"をいまだに引きずっており、支持率は伸び悩んでいた。また、希望の党の立ち上げに伴い離党者も相次いだ。9月に就任した前原代表は負の連鎖を断ち切るため、希望の党への合流を表明。民進党としては衆院選に候補者を擁立せず、希望の党からの立候補を目指す方針を打ち出した。

当初は「全員の合流を目指す」として民進党内の理解を得たが、小池氏は「(リベラル派を)排除する」と宣言。民進党の候補予定者約210人のうち、希望の党からの出馬が決まったのは半数強にとどまった。枝野幸男元官房長官らリベラル派の一部は立憲民主党を設立。野田佳彦元首相や岡田克也元民進党代表らは無所属で出馬することを決めた。小池・前原両氏の狙い通り、リベラル派と重鎮を切り捨てたわけだ。

小池人気を背景に躍進するとみられた希望の党だが、小池氏の「排除」発言以降、人気に陰りがみられる。「政権獲得」を掲げるものの、小池氏本人は立候補せず、誰を首班指名するかについても「選挙結果で判断する」とあいまいなまま。公約についても準備不足が目立ち、安倍政権との違いがわかりにくい。これでは、安倍政権への不満の受け皿には程遠い。案の定、マスコミ各社の世論調査を見ると希望の党への期待は急速にしぼんでいる。

蓋を開けてみれば......

逆に、筋を通した格好となった立憲民主党への期待が膨らみつつあるが、公示直前の立ち上げとあって候補者は78人にとどまった。約3割の選挙区にしか候補者がいないのでは勝負にならない。結果的に投票率が下がり、組織力の強い自民、公明両党が漁夫の利で2012年、2014年に続く衆院選"3連勝"となる可能性が極めて高い。

安倍首相は「与党で過半数(233議席)を割り込めば退陣」と明言しているが、実際には自民党が50議席以上減らせば責任問題が浮上するのは必至。「自民党の議席の減り幅が最大の焦点」という、なんとも寂しい選挙となっている。

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