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「農協改革」を言いたい放題

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岩盤規制に穴を!」と政府が鼻息荒く取り組む農協改革。そのなかで、全国の農家が所属する農協をまとめる親玉組織・JA全中は、監査・指導権を失い、一般社団法人化されることになった。でも、なぜ農協は改革されなければならないのか?議員になる前は青果市場で働いていたこともある平議員が「農協改革」を言いたい放題!

農業や漁業は本当に儲からないのか?

2014年の農業従事者は239万人で、1960年の1765万人から比べると大きく衰退しています。さらに、平均年齢は66歳。なぜこんなに減ったのかわかりますか? それは、若い人たちが職業に農家や漁師を選ばないからです。農業・林業・漁業のいわゆる第一次産業のイメージは、きつい肉体労働で、休みもなくて、儲からない。仕事として魅力を感じることができなければやらないのは当たり前です。

ちょっと漁業の話をします。宮城県の桃浦というところでは、カキの養殖をやっているのですが、東日本大震災の被害でカキの養殖場が甚大な被害を受けました。漁業は漁業権があるので、基本的に漁師さんしかできません。たぶん、今まで漁師をやっていた人がまた個人で再びやろうと思っても、高齢化も進んでいるし、利益もあまり出ないから復活させるのは難しかったと思います。でも、民間企業に漁業権を開放する「水産業復興特区」に認定された桃浦は、会社としてカキの養殖を再開することにしました。そうしたら、ものすごい復活を遂げたのです。

ただ養殖するだけでなく、6次産業化といって、カキの冷凍食品やフライなど、いろいろな加工品を作る。もちろん会社なので、そこで働く人たちには休みがあります。タイムカードだって社会保障だってあります。しかも、自分たちで加工し独自の販路も開拓したから、利益もしっかり出るようになりました。

実は、農業や漁業自体が儲からないのではなく、漁業は漁業者しかやってはダメ、農業は農業者しかやってはダメ、という規制に問題があるのではないかな――。農業改革は、そういう状況を打破し、多様な人たちが農業に携わって、農業が成長産業になっていくために進めているのです。

 

畑

稼げる農家のつくり方

話を農業に戻しましょう。農業が稼げるようになるための方法は大きく2つあります。一つは、担い手の多様性と農地の流動性を許容すること。

前述した6次産業化するにしても、加工するための工場を造らないといけません。工場を造るには資本が要ります。それを、従事者一人ひとりがお金を出してやるといってもとても難しい。でも、資本を集めるために最適な仕組みになっている株式会社ならできる。資本があれば、設備投資して生育や温度などをすべてITで管理することもできるかもしれない。

だから、農業にしても漁業にしても、個人でやりたい人は個人でやって、会社でやりたければ会社でできるようにすればいいのです。

農地の流動性については、例えば大規模な農業をやりたい人がいたとします。この人が農業者であればいいのですが、株式会社の場合、農地は割り当てられません。なぜなら、農地は農業者に優先的に割り当てるようになっているからです。株式会社が農地を持とうと思っても所有はできないし、農地を所有できる農業生産法人には出資要件や事業要件など、いくつもの制約がかかります。でも、資本が集まる株式会社が参入できれば、さまざまな規模で農業をやることができるようになります。

海外農産物を受け入れて”攻めの農業”へ

もう一つは、海外のマーケットに目を向けること。農協(JA)の人たちの中には、海外に市場を開くと外国から安いものが入ってきて自分たちの農産物が売れなくなるから、入ってこないようにしましょう、という考えの人たちがいました。でも本当にデメリットだけなのでしょうか?

日本国内の人口は、少子高齢化でこの先どんどん減っていきます。そんな状況で国内に新しい市場を開拓するのは難しいですよね。でも、アジア全体を見てみると、所得が高くなっている人たちがたくさんいて、量より質を求めるようになっている。そんなとき、これほど安心安全でおいしい農産物や一次産品を作れることができる日本は、彼らにとってどれだけ魅力的に映るでしょう。

だから国内のマーケットだけを対象にするのではなくて、外国から入ってくる農産物を許容しつつも、逆に輸出の道を見出しましょうと。

これまでの農協、これからの農業

これまでのJAは、JA全中っていう中央組織が大方針を決めてしまうから地域の多様性が出にくかった面があります。でもこれからは、輸出を志向しても、ブランド農産物で売り出しても、大型化してもいい。流通に関しても、これまでどおり市場を通しても、ネットを使ったダイレクトマーケティングでも、直接海外マーケットを目指してもいいと思う。

農協改革っていうのは、自由に多様性を広げていくっていう流れのなかで、中央集権的な組織のあり方はどうなのでしょうか?という議論。JA全中が監督して、それに従っていた仕組みは今後変わり、各地域のJAが自由な発想で考え行動するようになります。

農業は儲からないから従事者が減っているって言いましたけど、いろんな可能性のなかで儲かるようになって、将来性もあったら、跡継ぎますよね? 私だったらやるもの。

日本の農業は世界でも競争力が高い

以前、友人の国会議員(鳥取選出)がドバイの王族に日本の果物を売りに行ったところ、日本の農業技術そのものを買いたい、と言われたそうだ。砂丘でもみずみずしいナシなどができるので、砂漠の中東ではうらやましい限りだろう。

日本の農業は世界でも競争力が非常に高い。株式会社の参入で大規模農家を作るなど、改革が必要なのに、いまだに各地の農業委員(選任には農協が介在する)会が新規参入を認めないなど、旧態依然の既得権を守ろうとしている。これでは逆に日本の農業は衰退していくと思うのだが……。一気に農協改革は難しいだろうが、少しずつでも変えていくことが必要だ。