家具やインテリア、服飾等、人々の生活に根ざした商品を扱う株式会社トレジャー・ファクトリー。大量消費時代とも言われる現代において、リユースの価値とはどこにあるのか。創業以来増収を続ける同社の躍進の理由を聞いた。
買い物が”宝探し”になる
格安家具量販店やファストファッションの盛況ぶりが目立つ昨今。好調なのがリユース市場だ。市場規模は店舗やインターネットを合わせ、約1兆円。しかし、国民の3割程度しかモノの売買を行っていないという数字も出ている。つまり、リユース市場はまだまだ伸びしろがある分野なのだ。そこで、今回はリユース市場で注目を集めている株式会社トレジャー・ファクトリーの野坂英吾社長に話を聞いた。
株式会社トレジャー・ファクトリー 代表取締役社長
野坂英吾 のさか えいご
同社は1995年に創業し、2007年にマザーズ市場に上場。現在、家具や生活用品などを扱う総合業態の「トレジャーファクトリー」、服飾専門業態の「トレジャーファクトリースタイル」。低価格帯の古着のアウトレット業態の「ユーズレット」の3業態を展開している。安くてもそれなりのモノが買える時代、インターネットを通じてモノが買える時代。便利すぎる世の中だからこそ、リユースならではの価値があるという。
「一品ものが多いリユース市場において、探し出す楽しみ、めぐり会う楽しみを感じていただきたいと考えております。商品との出合いは一期一会。その場で購入しないと売れてしまうかもしれない。宝探しのような感覚こそがトレジャー・ファクトリーの魅力だと思います」(野坂社長)
【リアルショップ】店頭で宝探しを楽しもう
現在、関東を中心に75店舗を展開。「トレジャーファクトリー」では、インテリア雑貨や家具、生活家電、衣料品など幅広いアイテムを取り揃えている。中古品のため、ほぼすべてが一点もの。毎日、数百点以上の品物が入れ替わる店舗もあるという。店舗にはおおよそ4名から5名程度の社員がおり、多くの裁量が与えられている。日ごとに変わるディスプレイや柔軟な接客応対も同社の強み。
良い商品、良い消費者を集める仕組みづくり
同社の成長に欠かせないのが独自のPOS(販売時点情報管理)システムだ。適正な価格かどうかで商品の売れ行きが変わるリユース業態において、消費者のニーズを捉えた価格設定は重要なファクターとなる。
「過去に売買した価格や定価、インターネット上の価格データを網羅して、適正価格を算出するシステムです。これに加え、接客、店舗のディスプレイという3つの角度から買取を促す仕組みを構築しています」
適正な価格で売買が行われれば、自然にいい商品が集まってくる。同社では、高額なブランド品などは店舗での販売と合わせてネット販売も行う一方、洋服アウトレットの「ユーズレット」では低価格商品を集めて販売。商品に合わせた販売チャンネルを持っているのも同社の強みだ。加えて、インターネットの優れた検索機能がある世の中だからこそ、対面販売でしか提供できないサービスがあると考えている。
「弊社ではその地域に根差した品揃えやディスプレイを施しています。例えば、神奈川の藤沢であれば、海を意識してサーフボードを置いていたり、東京の下北沢のような若者が集まる街であればそういったブランドを仕入れたりしています。また、接客においては、お客様からお売りいただく商品を大切に扱うことを重視しています」
【オンラインストア】驚くようなブランドものも多数揃う
「トレジャーファクトリースタイル オンラインショップ」では、リアルショップに置かれている商品の中でも、有名ブランドなどの高額商品を中心に販売している。古着店などではなかなか出合えないコレクションブランドや、一流ブランドも多数。コンディションをはじめ、サイズや参考価格、置いてある店舗の情報も記載されているため、足を運べば実際に手に取ることもできる。
必要なものを必要なときに! リユース文化定着を目指して
最近は宅配買取のサービスや、ドレスレンタルのサービスなどもスタートした。その背景には、人のモノに対する考え方の変化があるという。
「今後は、必要なアイテムを必要なときに、必要な人が使う世の中になっていくと考えています。これだけリユースが広がっても、まだ利用したことがあるのは3割程度。今後はその裾野を広げていきたいと考えています」
昨年は初めて関西地方にも進出。その後は全国展開を行い、ゆくゆくは海外へも進出したいという。
「私たちのビジョンは、リユース文化が人々の生活に根差し、より豊かな生活を送ることができる社会をつくること。品物の地産地消を行うことで、経済を活性化していきたいと思います」