【政治家・経営者・社会起業家向け】理想を描き実現する人材を育成する社会構想研究科を新設┃社会構想大学院大学

7月7日、社会構想大学院大学で新研究科設立の記者会見が行われた。 写真:学校法人先端教育機構

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【政治家・経営者・社会起業家向け】理想を描き実現する人材を育成する社会構想研究科を新設┃社会構想大学院大学

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学校法人先端教育機構(理事長:東英弥)が運営する社会構想大学院大学は、2024年4月に「社会構想研究科」を開設する。社会学を学んで社会の現状を受け止めた上で、あるべき社会の姿を構想し、実現する能力を持った人材を育成するのが狙いだ。学生として想定するのは、政治家や経営者、社会起業家などを目指す社会人だ。

社会構想を具現化できる人材の育成が必要

社会構想大学院大学は2017年に設立(当時の名称は社会情報大学院大学)。企業や自治体のコミュニケーション部門の人材を養成する「コミュニケーションデザイン研究科」と、実務家教員を養成する「実務教育研究科」の2つの研究科を擁する専門職大学院だ。今回、同学は3つめの研究科として、「社会構想研究科」を開設する。

2023年7月7日に開催された記者説明会で、吉國浩二学長は新研究科を設立する企図を以下のように説明した。

吉國浩二学長

「現在の社会はさまざまな問題を抱えている。環境破壊や経済格差などが深刻化し、新型コロナウイルス感染症や、ロシアのウクライナ侵攻が続いている。予想外のこと、不確実なことが起こる時代だからこそ、しっかりと将来の社会を見すえてグランドデザインを描き、描いた社会に近づけることのできる人材の育成が喫緊の課題だと認識している。そのために、本学に社会構想研究科を設立することを決めた」(吉國学長)

なお、吉國学長は、社会構想研究科の研究科長に就任予定だ。

また、川山竜二学監は社会構想大学院大学について、「単に知識を得るだけの“知のフォロワー”から、知識を得た上で自分も情報発信をする“知のリーダー”になるための学びを提供している」と語りつつ、「学術的な知見と実社会で役立つ知恵の両方を身に付けた知のリーダーを輩出することを目指し、実際に既存の研究科から送り出した修了生が社会で活躍している」と成果を明かした。

学監・実務教育研究科長の川山竜二氏

さらに新設する社会構想研究科においても、「学びを実社会に接続させることを重んじ、PBL(課題解決型学習)を軸にした教育形態を取る。学生は2年次に集大成として、社会構想を実践する経験をし、それを修士論文に相当する『社会構想報告書』にまとめて提出することとする。ただ学ぶだけではなく、いかに学んだことを基に自ら新たな知を創り出し、社会に還元していくかという点を重視していく」(川山学監)と語った。

夢と希望を語り、実現可能な計画を考える

社会構想研究科の准教授に就任予定の富井久義氏は、現代社会の特徴や、それを踏まえて社会構想を描く意義について解説する。

実務教育研究科准教授で社会構想研究科にも就任予定の富井久義氏

富井氏は、現代社会はVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(あいまい性)の頭文字を取って『VUCA(ブーカ)ワールド』とも呼ばれ、特に今は“不確実性”がクローズアップされていると語る。

また、社会学の議論のなかで、「大きな物語の喪失」も指摘されており、それは社会全体で同じ方向を目指す社会構想や思想は成り立ちづらくなったという問題を生んでいる。その結果、「私たちは、新しい技術が登場するとき、そこに必ず環境問題など負の影響が付随することを知っており、夢や希望を語るよりは、リスクをいかに回避するかに主眼が置かれる時代になっている」(富井氏)という。

さらに、世の中のあらゆる問題に複雑な利害対立があり、“主流派の考え”を想定することも難しくなったといい、富井氏は「このような不確実で、かつ価値観が多様な社会で、社会全体をカバーする大きな構想を描くことはチャレンジングと言わざるを得ない」と断言しつつ、「難しいからといって社会構想を語らなくていいということにはならない」と強調。

その上で、「それでも私たちは、社会構想という形で夢と希望を語り、平和と繁栄を目指すべきだ。社会善を正面にすえて、社会の理想像を描く。しかも空想ではなく、実現可能な計画を考える。それが、社会構想研究科の目指すところだ」(富井氏)と語った。

社会構想力を学ぶための3つの柱

このような“困難な時代”にも社会構想を描く力を身につけるため、社会構想研究科ではカリキュラムを3つの柱で構成する。

1つは、実践的なアクティブラーニング。自治体や企業などが提供した社会課題に対し、学生が現地調査や現状分析、解決策の検討・提案、実証実験などを行う。課題を提供した組織からのフィードバックも受けられる産官学連携のPBLとなる。この科目は1年次に履修する。

2つめの柱は、社会科学の理論と方法論の学習。社会学のほか、政治学や国際関係論、地域社会論などの社会科学を学ぶことによって、社会構想の理論的なバックボーンを確立する。これらの科目は1~2年次を通じて履修する。

3つめの柱は、社会構想の具体化だ。2年次に学生自身の社会構想を具現化する演習で、この研究科での学びの集大成という位置付けだ。学生は全教員の指導・サポートを受け、学生同士のディスカッションや、学生自身による現地調査なども行いながら、自らが描いた社会構想を実現していく。

大学側が想定する学生像は、大きく2タイプに分かれる。1つは政治家や経営者を目指し、社会のグランドデザインを描こうとする社会人。もう1つは、社会起業家やソーシャルイノベーターを目指し、具体的な事業を通じて社会課題の解決を図ろうとする社会人だ。同学ではタイプ別に履修モデルを用意し、オリエンテーションなどを行うという。

2024年4月入学の学生募集は2024年3月まで、全6日程で実施する。直近では2023年8月21日に出願締め切りとなる早期日程の学生を募集する。

社会構想研究科の概要

学位:社会構想修士(専門職)
授業年限:2年間
授業日:平日夜間、土曜日
入学時期:毎年4月(2024年4月より)
入学定員:25人
入学試験:書類選考、筆記試験、面接試験
学費:入学金10万円(初年度のみ)、授業料160万円(単年度)

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