2010年から大阪・橋下徹市長が推進してきた「大阪都構想」。大阪市を5つに分割し、大阪府と再編する是非を問う住民投票(対象は市民)が5月17日に行われることになりました。賛成多数の場合、大阪市は2017年4月に廃止されます。
「大阪都構想」は、大阪府と大阪市の二重行政(府と市が似たような事業を行うこと)によるムダな支出をなくすための再編で、橋下市長率いる大阪維新の会の原点ともいえる政策。
大阪市役所は、1976年に着工され長期化している阿倍野再開発事業(4800億円)や、2004年に破綻したアジア太平洋トレードセンターATC(3056億円)など、財政を圧迫する負の遺産を生み出してきました。今回の都構想では、大学や病院などの二重行政の解消を目指すほか、“大阪市役所”というシステムそのものを見直し、大阪を一つにまとめていきます。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.4月12日に行われる統一地方選[大阪府議・市議選]の結果は、住民投票にどう影響しそうでしょうか?
A.普通に考えて、府市議選と住民投票の結果はイコールになる。
維新が府市議選で”勝ったといえる状況”になれば、大阪都構想にも賛成する人も当然多いということだし、都構想実現のために必要な府議会での条例制定もスムーズにいく。
逆に、維新が府市議選で振るわなければ、住民投票も反対派に押し切られるだろうね。
選挙の結果は住民の意思そのもの。住民の投票行動によって政治の方向が変わることはあっても、選挙の結果がその後の住民の投票行動に変化をもたらすことはないよ。
Q.賛成多数で実現した場合、全国にも波及するとのことですが、大阪以外にも二重行政のケースはあるのですか?
A.政令指定都市がある県は、同じような問題を抱えている。
例えば、神奈川県は大きな県で、税収もたくさんあるように思うかもしれないけど、川崎市や横浜市、相模原市のような人口50万人以上の大都市は、政令指定都市(政令市)として独立している。「神奈川県」という自治体には属していないんだ。
ということで、ここにも県と政令市の二重行政という問題がある。政令市は全国に計20(2010年国勢調査より)あるから、似たようなケースはたくさんあるよね。
(佐藤尊徳)
[参考:「大阪都構想、住民投票へ 5月17日実施 「二重行政」問う 市民の賛否拮抗」(日経新聞朝刊3面2015年3月18日)]
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