政治

一票の格差に「違憲状態」 混乱の原因は憲法

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最高裁大法廷は20日、昨年12月の衆院選の一票の格差について「違憲状態」との判決を下した。一票の格差を巡っては国会と司法の綱引きが続いているが、混乱の背景には憲法の”あいまいさ”がある。

 一票の格差とは、議員一人を選ぶ投票価値の格差のこと。昨年の衆院選では同じ一議席を決める千葉4区の有権者数が全国最多で、高知県3区が全国最少だった。この有権者数の差が2.43倍だったことから「一票の格差は最大2.43倍」とされる。
 現行の選挙制度は人口の少ない県に、加重に議席を配分している。そのため格差を是正するということは過疎地の議席を減らし、都市部の議席数を増やすことである。
 国会が格差を放置してきたのは「過疎地の声をもっと政治に届けるべきだ」との主張がまかり通ってきたからだ。安倍晋三首相の山口県や竹下登を輩出した島根県など人口の少ない県に有力政治家が多かったからという背景もある。
 これに対し司法は「投票価値の平等」を求めている。その根拠は憲法第14条の「法の下の平等」と、憲法第43条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」との規定だ。
 結局は憲法に、国会議員をどう選ぶべきかという原理原則が書いていないところに問題があるのではないか。「国民の代表」として完全な人口比例で議員を選ぶべきか、それとも「地域の代表」として各地域に等しく議席を配分すべきか。こうした根本的な議論から始めなければ、国会と司法の堂々巡りから脱することはできない。