2016年の新卒から日程が変わった就活戦線で、学生や企業だけでなく、官公庁も苦戦しています。政府の要請により経団連企業が採用選考を8月以降に後ろ倒ししたことを受け、各省庁は、2015年の面接開始時期を2014年よりも1ヵ月遅い8月に変更。結果として企業と官公庁を併願する学生の就活日程が重なり、国家公務員を断念する学生の数が懸念されています。
資格取得学校大手のTACによると、2016年卒の国家総合職向け講座受講者は15年卒比で6%減。2014年度の国家公務員試験の受験者数約2万1000人にこれを当てはめると、2万人を切ることに。国家公務員の採用試験を行う人事院の中島範子参事官補佐は、「企業にどれだけ流れるか読めない」と語っています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q経団連の後ろ倒しの指針には各省庁も従うのですね。
A従っているわけではないよ。
採用選考の後ろ倒しは、”学生の本分は学業”だとして政府が経団連に頼んだだけで、法律で縛ったわけじゃない。官公庁は経団連加盟しているわけじゃないから、従う必要はないし、従ってもいないけど、政府の要請で後ろ倒しした経団連に合わせて採用時期を後ずれさせるのは自然の流れだろうね。
大学受験だって日程が重なったら、行きたい方を受けるでしょ? もともと民間企業に行きたい人は民間企業に行くだろうから、日程が重なったところで志望を変える人はごく一部。迷うことはあっても、本当に志望する方を受験するよ。その方がロイヤルティーの高い学生が集まるからいいんじゃない? 何も問題ないんじゃないかな。
Q学生や企業は今回の後ろ倒しに振り回されている印象を受けますが、得しているのはどういった層なのでしょう。
A得するとか損するとかじゃないよ
どこの企業や官公庁も優秀な学生が欲しい。特に人手不足で売り手市場の現在においては、青田買いで、企業が早々に内々定を出して囲い込んでしまう傾向にある。
すると、どんどん就職活動が前倒しになって、学生の本文である学業に身が入らなくなってしまうので、政府が経団連に要請して後ろ倒しにしたの。学業を優先して、優秀な学生が育ってくれば、日本全体に有益になるのでは?
(佐藤尊徳)
[参考:「就活 官民で人材争奪 日程後ずれ、選考時期重なる」(日経新聞朝刊2面 2015年4月3日)]
[わかるニュース]
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