政治

“お得感”で投票するなら投票率なんて下がればいい

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 統一地方選の投開票日が4月12日(都道府県と政令指定都市の首長・議員選)・26日(それ以外の市区町村の首長・議員選)に迫るなか、首都圏の商店街などで、投票した人に割引サービスなどの特典をつける動きが広がっています。年々投票率が低下する統一地方選の投票率向上に一役買うとともに、集客増も狙った考えです。

 こうした取り組みは、選挙関連のベンチャー企業や、商店街関係者による委員会によるもの。

 選挙情報サイトを運営するパイプドビッツは、東京・下北沢の商店街で行われるグルメイベントで、投票証明書や投票所内での自身の写真を提示すると、デザートや小鉢などが無料で提供されるキャンペーンを実施。

 また、埼玉県熊谷市の中心市街の商店街関係者や商業施設などからなる「まちなかモール委員会」も「投票証明書を持ってお店へGO!」キャンペーンと題し、投票証明書の持参で料理一品が進呈されるキャンペーンを行います。

 こうした民間の取り組みに対し、今後、自治体側も”お得感”を意識していくようになるかもしれません。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Qとても面白い取り組みだと思うのですが、投票証明書をこうしたサービスに利用しても大丈夫なのですか?

A特に問題ないよ。証明書自体をお金で取引するとかしなければ。

 個人的にはいい試みだと思う。集客にもつながるなら一石二鳥だ。でも、投票は権利であって、義務じゃないからなぁ……。こういうことをしないと投票率が上がらないようじゃ、選挙民のレベルが低いと言わざるを得ないよね。


Q今回の取り組みは都市圏以外には通用しにくいと思います。地方では投票率向上にどのような策を巡らせているのでしょう?

A総じて、都会の方が政治に対して希薄で投票率が低いのだから、都市圏こそいろんなことをすればいい。

 ポスターで呼びかけるとか、CMを打つなどしているけど、実際の行動に結びつくような有効な策はなかなかないね。

 でもね。本来は、自治体に呼びかけられないくても投票には行かないと。さっきも言ったけど、行かないということは自ら投票の権利を放棄しているわけだから。

 むしろ、お得感で行くようなら、投票率なんてどんどん下がればいい。そんなんだから、”浪速のエリカ様”とかワケのわからん議員を選ぶことになるんだ。政治は面白くないから無関心とか、信用ができないとか言うけど、今のような低い投票率が続いて、それで政治が乱れるのは有権者の自己責任。投票に行かない有権者の責任も大きいよ。

 投票率を上げる地道な努力は評価するけど、僕から見たら、そんなもんでしか投票に行かないような有権者が選ぶ政治家は、逆に良くない気がする。投票率を上げるためには、初等教育で政治への関心度を高めることを教えていくなど、地道な努力をしていくほうが大事だ。
(佐藤尊徳)

[参考:「商店街、投票率向上に一役 首都圏 証明書で割引理一品」(日経新聞朝刊35面 2015年4月9日)]

[わかるニュース]
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