オリックス株式会社は、フランスの空港運営大手、バンシ・エアポートとの連合を組んで、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港の運営権の取得に臨みます。
オリックスは関西地域となじみが深く、商業施設の運営ノウハウを持っています。一方、仏バンシはポルトガルのポルテラ空港(リスボン空港)など24空港を運営する実績が。両社は、地元の南海電鉄などほかの国内企業とも組んで企業連合体を作る方針とのこと。
現在、両空港を運営しているのは政府所有の新関西国際空港会社。運営は、公共インフラの所有権を国や地方自治体が所持したまま、民間企業が運営するPFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式です。安倍政権はPFIを成長戦略上のインフラの要と位置づけていて、総額2兆2000億円にもなるPFIは過去最大。
事前審査を通過したのは国内外の20社。その規模から企業が二の足を踏んでいて、一次審査が2月から5月に延期されています。運営権の取得者が決まるのは7月頃の予定。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q国が所有権を持つ国際空港の運営に、外資系企業が参入しても大丈夫なのでしょうか?
A僕はいいと思う。
航空会社は航空法によって規定されていて、外資系の参入には規制が入る。外国人が3分の1以上の議決権を握れないようになっているんだ。これは諸外国でもほぼ同様の決まりがある。
でも、今回は空港の”運営権”であって、”所有権”ではないから、外資が入ってもいいんじゃない? 関空は特に経営が厳しいから、ノウハウを持った外資が入って活性化されるなら歓迎すべきだよ。
それよりも、土地の売買にもう少し外国人規制を入れた方がいいように思う。今、一等地の不動産売買でかなりの外国人(特に中国人)が活躍している。闇雲に規制をすればいいとは思わないけど、国土そのものだから、あまり買い漁られるのもどうかと思う。
Q過去最大のPFIとありますが、現状国内でのPFIでの運営はどのようなものあって、どのぐらいの規模が主流なのでしょうか? また、どういったインフラがPFI方式を生かすことができますか?
Aそうだねぇ。ひと昔前に話題になったのは、刑務所のPFI。公共インフラだから、規模はかなり大きなものだし、事業者もそれなりに信用力のある所が選ばれるよね。中小規模のPFIもあるようだし、いろんなものが考えられるんじゃないかな?
今回の空港も、刑務所も、何社かの連合体で運営される。いろんな会社の得意分野で、公共インフラのサービス向上が図れれば万歳だよね。
例えば、ハローワークだって民間に任せたら、もっと就業のミスマッチが起きないんじゃないか、という意見だってあるよ。観光などの集客に苦しむサービス事業もあるだろうし、教育機関だって何も公共に縛らなくたって、民間でできるものは民間でやった方がいい場合が多いよね。
(佐藤尊徳)
[参考:「オリックス、仏社と連合 関空・伊丹運営権 入札参加へ」(日経新聞朝刊5面 2015年4月10日)]
[わかるニュース]
経済新聞やテレビをはじめとする難しい政治・経済のニュースを、就職活動に役立てたい現役大学年生のT君が、気になることを尊徳編集長に質問します。
★★もっと知りたい! 本誌に出せない情報をメルマガで配信中★★
無料メールマガジンの登録はコチラ