2014年末に、1961年以来、外交が断絶しているキューバとの国交正常化させると発表していたアメリカのオバマ大統領は、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と59年ぶりとなる首脳会談を行いました。1962年のキューバ危機以来、明確な対立を維持してきたアメリカとキューバが再び歩み寄ろうとしています。
多くの中南米諸国は、全域での協力関係が進むと歓迎的な姿勢を示していますが、一方でエクアドルなど一部の国は反米姿勢を崩さないまま。
首脳会談と同日に行われた南北アメリカ大陸の国々が参加する米州首脳会議の会場では、エクアドルのコレア大統領が米国を”侵略者”と批判。ニカラグアのオルテガ大統領はプエルトリコがアメリカの自治領となっている現状を批判的に取り上げました。
当面は、中南米の反米国家を経済面で支援してきた産油国ベネズエラの姿勢が焦点となる模様で、会場ではベネズエラのマドゥロ大統領がオバマ氏に接触、「われわれはアメリカの敵ではない」と伝え、両国間対話の実現への期待を示しました。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q歓迎する”多くの中南米諸国”と、反米姿勢を示すエクアドルやニカラグアなどの国家にはどのような違いがあるのでしょうか?
A基本的に世界各国は親米か反米に分けられると思う。違いはそれぞれの国内事情だね。
ロシアの近隣も親ロシアか反ロシア(親欧米)に分かれるでしょ。それと同じ構図だよ。
キューバやエクアドルなどは、政治体制が共産主義国なので、旧ソ連に近かった。東西冷戦時代の名残だね。共産主義国は基本、反米と見て間違いない。
ニカラグアは国内で親米派と反米に分かれていて、今は反米派のオルテガ大統領が政権に就いているから反米になっているけど、そうでなければ親米に転じるだろうね。
でも、時代も変わり、ソ連も崩壊して共産主義国も頼る国がなくなった。いつまでも反米でいると、経済制裁などで国内が疲弊してくる。そうなれば、現在の体制がもたない可能性が出てくる。中南米は特にアメリカに近いので、経済的なつながりは切っても切れないし、反米を貫くのも考え物だ。
Q冷戦期を体験していない世代としては印象が薄いのですが、世界的にものすごい大きく取り上げられていますよね?
A “世界の”アメリカの外交の転換点だからね。
47歳になる僕も、印象は薄い。ただね、日本が北朝鮮と国交回復に向けて話し合う、と言ったらどう? 小泉(純一郎)さんが日朝首脳会談を行ったときは大きなニュースになったよね。それくらいの出来事なんだ。
これは、イラン政策やその他の国へも大きな影響を与えるし、日本も他国との付き合いの間合いを考えることになるだろう。
(佐藤尊徳)
[参考:「中南米、根強い反米感情 米キューバ接近 ベネズエラ焦点」(日経新聞朝刊7面 2015年4月13日)]
[わかるニュース]
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