社会

グローバル化する感染症 中東発のMERS(マーズ)が韓国で感染拡大

0コメント

 韓国で中東呼吸器症候群(MERS)の感染が広がっています。6月2日時点で感染者数は25人で、うち2人が死亡。感染者からさらに感染した「3次感染者」も2人確認されています。韓国政府は感染拡大の防止に向けた対策を発表し、警戒の度合いを強めています。

 MERSは中東発の感染症。最初に病原体のウイルスが確認されたのは2012年で、発熱やせき、肺炎などが主な症状です。感染ルートはラクダや、せき・くしゃみの飛沫(ひまつ)などで、感染力は比較的弱いとされていますが、家族や医療関係者が2次感染する例もあります。世界保健機関(WHO)によると、これまで死者は少なくとも約430人。

 韓国政府は感染者に近づいた50歳以上の呼吸器系慢性疾患を持つ患者の施設隔離や、それ以外の近接者の自宅待機などを対策として発表。日本では厚生労働省が2015年1月から感染症法に基づき危険度を2番目に高い2類感染症に指定していて、中東滞在や38度以上の高熱などの症状がある人を受診した病院などに、保健所への報告を求めています。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q日本へ飛び火することも考えられるのでしょうか?

A韓国から日本に来ることはないと思うけど……。

 中東はドバイの発展などで、最近は人気だから、日本人が感染して帰国した、ということになれば広がることもあるかもしれない。だけど、感染力はそんなに強くないということからも、韓国から飛び火ということはないんじゃない?


Q厚労省による危険度指定は、それぞれの段階ではどのような対策を行うのですか?

A感染症はその名の通り、人から人へ感染してしまうので、隔離することになる。

 人権もあるから、人の移動などに制限を付けるにはそれなりの法的根拠が必要。だから、感染力や治療法の有無、致死率などによって、国が危険度の指定をすることがある。発病が疑われたり、確定すれば、強制力を持って患者を隔離できるし、海外からの渡航者であれば入国を拒否したりできるんだ。

 今回のMERSは治療法も確立されておらず、危険度が高いと判断されて2類感染症に認定されたわけ。鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)と同等の分類にされたことからも、厚労省の警戒度は高いよね。


Qそういえばエボラウイルスはどうなっているのでしょう。沈静化しつつあるのですか?

A随分と沈静化したようだ。

 ただ、特効薬ができたわけではないので、発症すれば死と隣り合わせであることに変わりはない。しかし、各国や医療関係者たちの必死の努力で、新たな感染は収束に向かっているようだよ。

 交通手段が進歩して、これだけ人の移動が活発になるといろんなウイルスが飛び回るのは仕方ないことなのかもしれないね
(佐藤尊徳)

[参考:「韓国 750人隔離対象 MERS警戒」(日経新聞朝刊2面 2015年6月3日)]

★★もっと知りたい! 本誌に出せない情報をメルマガで配信中★★
無料メールマガジンの登録はコチラ