日本年金機構は6月1日、職員の端末がサイバー攻撃を受け、約125万件の年金情報が外部に流出したと発表。国内の公的機関としては過去最大規模の情報流出で、国の情報管理のあり方に対する国民の不信感が高まりそう。
流出したのは年金記録を管理するため一人ひとりに割り当てられている基礎年金番号と氏名の計約125万件。流出した情報のうち、約5万2000件には生年月日と住所も含まれています。これらの情報だけで年金の不正引き出しなどが行われる可能性は極めて低いものの、振り込め詐欺などに悪用される危険性も。
日本年金機構の前身である旧社会保険庁は、以前にも約5000万件の年金記録漏れを起こしており、第1次安倍内閣の退陣の一因ともいわれています。今回の流出も、今国会や第3次安倍内閣への影響が懸念されます。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q今回の流出は、ずさんな管理体制に原因があるのか、どれだけ強固なセキュリティーでも起こり得たことなのか、どちらなのですか?
A100%のセキュリティーというものはないよ。
ずさんな管理体制だったとは思わないけど、ウイルスに対する意識が希薄だったとは思う。不明なファイルは開けないなどの注意をしていれば防げた場合もあるから。
ITで便利になればなるほど、このような問題は起こり得るよね。セキュリティーシステムが作れるのなら、それを破るシステムも作れるはずだからいたちごっこ。それを運営する人の知識や体制がますます重要になると思う。
Q現政権への影響はどの程度ありそうですか?
A今回に限ってはほとんどないと思う。
第1次政権のときには、悪いことのスパイラルで、次から次へと政権にとってマイナスの事象が起きたなかでの年金問題だった。今回は、政権の問題ということではないし、経済指標(特に株価)が上昇しているなかで、支持率への影響は軽微だと思われる。
(佐藤尊徳)
[参考:「年金情報125万件流出 番号・氏名・住所など」(日経新聞朝刊1面 2015年6月2日)]
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