経済

子育て世代に朗報? 投資の時代に超低金利の財形住宅融資は機能するか

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厚生労働省は子育て世帯を対象に、財形住宅融資の貸出金利を優遇する制度を作ります。2015年7月1日から18歳未満の子供がいる世帯が、通常金利より0.2%低い金利で貸し出しを受けられるようになります。子育て世帯のみに絞った金利優遇は初の試み。

財形住宅融資は、毎月の給料から天引きする形で貯蓄を行い、残高が一定額を超えると今度は残高の10倍(4000万円まで)を厚労省が運営する機関から借り入れることができる勤労者財産形成貯蓄(財形)の一種。今回の制度は16年3月までの時限措置で、それまでに新規借り入れを行えば0.2%低く融資を受けられます。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q厚労省の資料を見ると、財形を導入している企業はその規模にかかわらず年々減っているようなのですが、なぜですか?

A日本人の貯蓄に対する意識や、会社への帰属意識の変化だと思う。

以前は、終身雇用で定年まで会社に勤めるというのが普通だったから、財形で積み立てをするという意識が備わっていたのだと思う。でも今は転職も当たり前になっているし、預けてもほとんど利息がつかない低利の時代だから、財形を選ばずに、投資に回したいと考えるんじゃないの?

401kという言葉を聞いたことがあるかな? 簡単に言うと年金を自分で運用する制度。超安定的で低利の財形貯蓄をするか、少しリスクを取ってでも高いリターンを求めるかを、今は本人が決められる制度が少しずつ出ているように、財形貯蓄から投資へという流れができあがってきているんじゃないかな。


Qなぜ財形制度をもって経済対策を行ったのでしょう? ほかに消費を促す制度はないのでしょうか?

Aほかにもいろいろとあるだろうけど、住宅購入刺激が一番効果があると考えたんじゃないの? 家を買ったら家具も電化製品も買うからね。

政府が行う融資だから、焦げつき(貸したお金が回収でなくなること)は許されない。税金で穴埋めしないといけなくなるからね。財形制度は貯蓄をしている人に融資をするのだから、比較的安全でしょ。そして、子育て世代に限れば、少子化対策の一つとしても、機能するからじゃないかな。
(佐藤尊徳)

[参考:「子育て世帯 金利優遇 財形住宅融資 7月から0.2%低く」(日経新聞3面 2015年6月1日)]

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