政府は2015年10月から、日本に住むすべての人に割り当てられる社会保障と税の共通番号「マイナンバー」の利用範囲を広げます。公共サービスを効率化し、歳出の抑制につなげるのが狙い。
今回検討されるのは3段階目の改革案で、2018年にも戸籍などの関連法案を改正し、順次実施していく予定。戸籍や旅券などの手続きにおいてマイナンバーを使用可能にして、必要書類を減らし手続きを簡単にするほか、新たに国外にいる日本人にもマイナンバーを割り当てて在留届出などにも使えるようにします。
また、現在は証券会社からの通知書を元にして申告書を書き、税務署に提出しなければならない株式などの配当や売却益の納税手続きも、証券会社からの通知書を自分のマイナンバー専用ページ「マイナポータル」に取り込むことで簡単にできるようになります。
マイナンバー制度は現在、2段階目の銀行預金口座との連動についての関連法案を審議中。1段階目の行政手続きへの利用や「マイナポータル」上での納税状況の確認などはすでに法案が通過していて、2017年より施行されます。役所での提示に使うマイナンバーが記載された個人番号カードは2016年から配布される予定。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q銀行口座との連動も審議されていますが、可能なのは株式関連の納税手続きだけで、その他の納税はできないのでしょうか?
Aできるよ。すべて連動させればいいだけだから
そのうち、過去の疾病データなど自分に関するものをすべて登録しておけば、マイナンバーだけで、その人のことがわかるようになる。政府には脱税の捕捉など、徴税には大きく役立つ制度になる。
Qマイナンバー制度についての世論の賛否はどのようになっていますか?
Aプライバシーの侵害だ、とかいう世論もあるけど、僕は大賛成。
現在はセキュリティーが厳しく、かつてのようなおおらかな世の中ではないし、一人暮らしの老人も多い。それに、脱税はいつまでたってもなくならない。
国家が番号で国民を管理しても仕方がないと思う。監視カメラがいたるところに付ついているし、すでに、そんなにプライバシーなんてない世の中だから。
(佐藤尊徳)
[参考:「株の納税、マイナンバーで 配当や売却益 申告簡単に」(日経新聞朝刊1面 2015年5月29日)]
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