2014年度の国の税収が、政府の見積もりより2兆円を超す規模で上振れする可能性が出てきました。円安などによって過去最高益の企業が続出、賃上げや株式の配当増などもあり法人税、所得税による収益がそれぞれ1兆円超増加したため。
1月時点での政府の見積もりは51兆7000億円でしたが、大幅な上振れの結果、一般会計の税収は54兆円規模と予測。6月末にかけての最終集計によっては上振れの総額が2兆円台後半に達する見方もあります。
税金の上振れなどの剰余金は、財政法に則って半分を国債の償還にあてる必要があります。残り半分の用途として多いのは補正予算の財源など。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q記事を読む限り景気の好調が感じられますが、”穴”はありますか?
A簡単に言えば、まだデフレを脱却してないことかな。
景気の上昇局面において、順調だと判断すれば日銀は金融を引き締める(金利をある程度上昇させる)。景気が加熱して、想定よりも土地や株などが値上がりして、適正な価格とはいえないところまで上昇(いわゆるバブル)するのを防ぐために、簡単に資金調達ができないようにするんだ。
現在は景気回復局面にもかかわらず、日銀は”異次元の金融緩和”を続けている。これは異常な状態。一部のものは値上がりしているのに、全体ではまだデフレ傾向のためだ。
低金利のときは、お金を借りて値上がりするモノに投資したほうが儲かるので、簡単にお金を借りて、実際に自分にとって必要ではない(使わない)ものにお金を回す人が多くなる。結果として価格上昇を引き起こすけど、行き過ぎた価格は必ず適正価格に戻るので、値下がり損が蔓延することになる。これバブルが弾けるということ。
今の異次元緩和が行き過ぎれば、必ずバブルを生んで(すでに一部ではそのような傾向が見られる)、深い谷底に落とされる。それが穴かな。
Q景気が好調である現在は補正予算が組まれることはあるのでしょうか?
A必ず、ではないけどあるよ
地方まで完全に好景気の恩恵が浸透しているわけじゃないから、政治の”圧力”によって公共事業が組まれることはあると思う。逆にこういうお金があるときにこそ、予算のぶん取り合戦が起きることもあるんじゃないかな。
(佐藤尊徳)
[参考:「国の税収上振れ2兆円超 法人税で1兆円」(日経新聞朝刊1面 2015年6月10日)]
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