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高齢化社会で「ティアの会」が担うもの~葬儀時の優待&保険も揃う会員制度

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葬儀社は葬儀をすることになって初めて連絡するものと思っている人は多いが、株式会社ティアの考え方は違う。利便性の高い”会員サービス”を通してよりよい葬儀を提案するシステムと、そこに込められた冨安社長の思いを聞いた。

冨安徳久プロフィール冨安徳久(とみやす のりひさ)
1960年生まれ。愛知県出身。1979年、アルバイトで入った葬儀会社に感動し、入学式直前に大学入学を辞めて葬儀業界に入る。1982年、東海地方の大手互助会に入社するも、葬儀に対する会社の方針に疑問を持ち独立。1997年、株式会社ティア設立。2006年、名証セントレックスに上場。2014年6月、東証一部上場。

積立式の会員制度に疑問

業界の常識を打ち破り、消費者が納得できる葬儀価格を提供してきた株式会社ティア。愛知・岐阜・三重の中部3県と関西を中心に展開し、近年は関東にも進出。全国200店舗も狙う新時代の葬儀社であり、その成功を支えるのが会員制度「ティアの会」だ。

冨安社長は起業前、葬儀をはじめ結婚式や還暦祝いなど、生涯のイベントに携わる「冠婚葬祭互助会」に10年以上勤務する。ここで仕事をするなかで、月々積み立てることで葬儀費用などが割引される互助会の会員制度に大きな疑問を抱く。

「生前から認知してもらえる会員制度は、顧客を増やすのに重要なシステム。でも、長い期間積立金を払い続ける仕組みに疑問を感じました。自分で会社を起こしたら、一度の入会金だけでさまざまなものが割引になる会員制度を作ろうと決めていました」

冨安徳久

「ティアの会」会員サービス[1]
愛する家族の負担をなくす 保険

現在、葬儀費用の全国平均は約140万円を超える。お寺への謝礼や食事代など入れると約200万円だ。誰もが払えるわけではない高額な費用に、「払えないことを理由に葬儀をしなくなる人が増えれば、命の軽視につながってしまいます」と冨安社長。

そのために冨安社長は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険ともタッグを組んで保険商品を導入。ティア会員限定に保険金100万~150万円程度の葬儀費用の準備に役立つ保険を販売している。この保険に加入して100万円でも保険がおりれば、実際に葬儀を行う家族の大きな手助けに。スタートしたばかりだが、今後はもっと多くの商品を展開していく予定だ。

「ティアの会」会員サービス[2]
残された人々へのケア ラストメッセンジャー

ゴールド会員なら5千円、通常会員でも1万円、保険に加入した会員は無料で利用することができる。生前に記しておいたメッセージを遺族へ届けてくれるサービス。「終活」という言葉が浸透し始めている現代において、残される人々へのケアを気にする人も少なくない。そんな人々に対して冨安社長は、遺言のような重苦しいものではなく、家族や友人に対して「最後に何を伝えたいか」を残しておくべきと考えている。

通常、遺言を弁護士などに依頼すれば数万円はかかることもあり、保険に入るときに一緒に利用するのがよさそうだ。

「ティアの会」会員サービス[3]
入会したその日から開始 ポイント&優待

「ティアの会」に入ると、会員になったその日から1日1ポイントの「生き方応援ポイント」が加算されていくポイントシステム。500ポイント以上貯まれば、貯まったポイントを使って通販でショッピングが楽しめる。

また、ティアカードを持っていると、洋服の青山や眼鏡市場など全国1万件以上の温泉、レストラン、宿泊施設などで優待サービスを受けることができ、中には50%以上の割引もあるという。

会員制度を通して死生観を伝えたい

冨安徳久

ティアの会は、入会金1万円を払えば、葬儀時にさまざまな優待を受けられ、月々の積立金や年会費は一切不要。特典も充実させ、葬儀のためだけでない”生活に密着したカード”を目指す。特典が充実したカードを目指すのは、顧客集め以外に、冨安社長が伝えたい死生観ともいえるメッセージがあるからだという。

「この仕事をして37年間、人の死を見てきて”死も人生の一部である”と考えるようになりました。病気で余命いくばくもない方や、そのご家族のご心痛ももちろんですが、当然のように明日があると思っていた方が、交通事故や災害で急に亡くなる悲しさ、きちんとお別れできなかった無念さは計り知れません。多くの人は当然のように毎日を送っていますが、今日一日を生きられることこそ幸せであると知ってほしい。そうすれば限りある人生を充実させたいと思えるようになるんです。『ティアの会』に入ることで日常的に”死”を意識し、今ある”生”を大切にしてほしい……、それこそが私のメッセージです」

高齢化社会が訪れ「終活」という言葉が浸透しつつある昨今、”死を見据えて生きる”ことが当たり前の時代になるかもしれない。冨安社長の言葉を借りれば、「そうあるべき」なのだ。そのとき、「ティアの会」が担う役割は今以上に大きくなっていくだろう。

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