国内で売上高5位の海運中堅である第一中央汽船が、民事再生法の適用を申請することで最終調整に入った。負債総額は簿外も含めると2000億円を超える可能性がある。
第一中央汽船は約170隻を運行していて、ばら積み船での石炭や鉄鉱石を輸送する事業が主力。中国の資源需要拡大を背景にこれまで運航隻数を増やしていたが、ここ数年は中国の市況低迷などを背景に業績が悪化。2015年3月期まで4期連続で最終赤字となっていて、自力再建を断念。
同社は借りた船の用船料が資源を運んで得られる運賃を上回る逆ざやが続いていて、法的枠組みを活用してこれらの契約を見直し、収益回復を遂げたい考え。一方で再建手続きを進めるうえでの十分な資金を確保できない恐れもあり、東京地裁と調整を行い、臨時取締役会を開く。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
ばら積みというのは、字のごとくバラバラなもので、不定期便。だから価格変動が大きい。資源価格が下がっている現状では、収益回復は非常に難しいと言わざるを得ない。
一方、定期船でコンテナにモノを詰めて運ぶコンテナ船は定期だから、長期契約で運賃は安定する。その代わり、燃料が上がったときなどは、リスクを背負うことも。他にはタンカーで石油を運んだり、LNGを運んだり、専用船もある。
海運会社は合従連衡の歴史だった。まだ、余剰だということなんだろうな。
中国景気の減速による影響だというが、あれだけ大きな市場だ、第一中央汽船以外にも危機的な状況になる会社も出てくると思う。中国は市場としても大きかったから、こぞって企業が進出したし、中国経済に頼る企業も数多くいた。建設重機の会社などが代表的だけど、景気減速したといわれる今でも増えている。
上海市場の動きはこれからも注視すべきだ。
(佐藤尊徳)
[参考:「第一中央汽船が経営破たん」(日経新聞朝刊1面 2015年9月29日)]