「若者の政治参加検討チーム」の会合第4回が5月16日に行われ、若者の投票率を上げるための施策をまとめた緊急提言を発表。また、マルチタレントの春香クリスティーン(25)がゲスト参加し「投票とインセンティブ」について議論を交わした。
若者の政治参加に必要な4つの緊急提言
4回目となる「若者の政治参加検討チーム」会合において、これまでに議論された「投票環境の整備」「主催者教育」「若者の社会参画」3つのテーマを踏まえた緊急提言が発表された。内容は以下の通り。
[インターネット投票]
在外投票に限定せず、国内でもスマートフォンやパソコンなどによるインターネット投票を導入。多忙、住民票を移していないために投票用紙が手元に無い、投票所まで行けないといった理由で投票できずにいた人の投票が期待される。不正についてはすでに国政選挙でのネット投票を導入しているエストニア等の例を参考にする。
[多様で身近な投票所]
生活の多様性を踏まえ、コンビニや郵便局など身近な場所で投票できる多様な手段の整備を検討すべきである。
[被選挙権年齢引き下げ]
日本の被選挙権年齢は、衆議院議員と地方議員は25歳以上、参議院と知事は30歳以上と、諸外国に比べて高い年齢が設定されている。実際に若者の世代が社会に影響力を行使できると判断できるよう、関心を高める上でも年齢引き下げを行うべきである。
[供託金額引き下げ]
立候補時に必要となる供託金は候補者乱立を防ぐため高額に設定されているが、立候補によって仕事と経済的基盤を失うケースも少なくない。それを若者の政治への挑戦を阻害している要因として捉え、引き下げを行なうべき。また、選挙公営費の内容の精査も併せて行う必要がある。
以上、4つの提言を自民党の選挙制度調査会へ申請し、改正案として固めていく方針を示した。そのためにも引き続き課題の洗い出しや掘り下げを行う必要があるとしている。
若者が求める投票の見返りとはなにか?
続いて第4回のテーマである「投票とインセンティブ」について議論が展開された。
若者が投票に行かない理由として「仕事が忙しく時間がなかったから」「選挙によって政治や暮らしが良くなるわけではない」「適当な候補者がいなかったから」(「選挙に関する世論調査」東京都選挙管理委員会2015)が上位に挙げられているが、投票に行くことでインセンティブが発生する仕組みを考えることで、”行きたくなる投票”を目指すという。
具体的には、2016年の参院選などすでに一部の地域で事例もあるが、産業界へ協力を仰ぎ、投票済証明書を提示することで割引きサービスを受けることができるといった、金銭的なインセンティブを設ける方法。
また、政治参加や投票することで家庭や学校において評価される風土作りなど、社会的なインセンティブを詰めていくとした。
ゲスト参加した春香クリスティーンは、「若者同士では政治に関する話題を出しにくいなかで、現場のムードが変わっていくことで、若者の政治参加の在り方も変わっていくのではないか」と語った。
現状は課題の洗い出しを行っている段階ではあるものの、今後は若者の社会参画を掘り下げ、国の推進体制について議論するなどさらに核心に迫っていきたいとのこと。必要に応じてプロジェクトの立ち上げや、議員立法も考えているという。
投票率を上げるために見返りを用意するというのは、若者の投票率を上げることに対しては一部有効な策かもしれないが、本来の投票の目的を忘れてはいけないということも、しっかりと伝えていく必要があるだろう。