尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.ギリシャ(欧州)は財政危機を脱したのでしょうか?
A.財政危機が収まったかどうかは、よくわかりません。ただ、世界的にリスクマネーを供給する体制になってきたのでしょう。
金利とは基本的に相対で決まるものです。無職の人が借りる消費者金融は信用力が低く当然高金利だし、トヨタ自動車のように信用力が高ければ低利でお金を借りられます。
デフォルトリスク(債権回収できない状態に陥る危険性)まで考えられたギリシャの国債は一時期年利で40%も付きました。企業で言えば倒産寸前です。それが緊縮財政や、EUなどの援助により長期金利は6%程度まで下がり、4.95%で5年債を発行できるようになったということは、財政危機を乗り越えたと考えてもいいとは思います。
しかし、GDPの1.8倍もの公的債務が残っているのだから、今後も緊縮財政を続けて、国民が真面目に勤労に励んで債務を返していかなければ、モラルハザードを起こして元の木阿弥になることは容易に想像できます。
ジャブジャブの金融緩和で見かけは欧州の債務危機が去ったように思われていますが、大量に供給したマネーはいつか戻さなければなりません。そろそろ金融市場が反乱を起こすような気がしています。(佐藤尊徳)
[参考:2014年4月11日 日経新聞 7面「ギリシャ、国債発行 再開」]