「乗車10分、待つのは30分」――。東京モーターショーの展示場をつなぐバスに乗るため長蛇の列の現実と矛盾

2019.10.28

技術・科学

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「乗車10分、待つのは30分」――。東京モーターショーの展示場をつなぐバスに乗るため長蛇の列の現実と矛盾

「第46回東京モーターショー(TMS)」が10月25日から始まったが、関係者からは「東京五輪のトバッチリに悩んでいる」との“恨み節”もチラホラ。その最右翼は「長時間のバス待ち」だ。

東京五輪の影響で展示場は2拠点に

今回、会場としては例年の臨海副都心部にある東京ビッグサイト「東京国際展示場=有明エリア」に加え、約1.3㎞西の「青海展示棟=青海エリア」も用意し、図らずも2拠点での分散展示となってしまった。

東京モーターショー:バスに乗るため長蛇の列の現実と矛盾

2020年の東京五輪では一大メディアプレスセンターに変貌する東京ビッグサイト。このため施設のほぼ半分を目下大改装工事中で、この代替スペースとして青海エリアが用意されているのだが、2拠点間の物理的な距離はどうしようもない。

そこで苦肉の策として無料シャトルバスを投入して連絡、主催者側は3~5分間隔、移動時間は10分以内、と利便性を強調、バスの一部をハイブリッド車にするなど、環境配慮にも余念がない。

ところが、問題はバスに乗るための待ち時間。10月23~24日のプレスデーの場合、一般公開日に比べもちろん来場者は極端に少ない。にもかかわらず、バス乗車を求めて長蛇の列ができ、最低でも30分待ちを覚悟しなければならないほど。

両会場間は約1.3㎞なので徒歩なら30分というところ。歩けない距離ではない。ということで、両者を結ぶ遊歩道を「OPEN ROAD」と銘打ち、未来のクルマやスーパーカー、萌えキャラをラッピングした「痛車」などを多数展示。歩行者を飽きさせない涙ぐましい工夫を凝らしているのも事実で、むしろ「徒歩での移動の方が健康にも良い」とTMSサイドが訴えているようにも感じられるほどだ。

東京モーターショー:OPEN ROADの「痛車」

「自動車展示会場で健康のためのウォーキング」の矛盾

だが、前述したように、「未来のクルマを見るためにバス待ちの長い行列」や「自動車展示会場で健康のためのウォーキング」は少々本末転倒、矛盾してはいないだろうか。

トヨタ自動車社長でTMSを主宰する自動車工業会の会長でもある豊田章男氏は、TMSのプレゼンテーションで「人を中心とした未来のモビリティ社会」と強調したが、果たしてこの現実に気づいているのだろうか。気になるところだ。