Q.核、ミサイル問題の包括的な解決の着地点は、なんですか?
A.核、ミサイル開発の中断です。
北朝鮮はかつて、アメリカからテロ支援国家に指定され、ブッシュ大統領から悪の枢軸国と言われた国です。大陸間弾道ミサイルを開発されてアメリカ本土が射程圏に入れば脅威は大きくなります。核弾頭を積まれたらとんでもない話ですから、なんとしても阻止したいということです。
それぞれ思惑は違いますが、北朝鮮が核武装をすれば、中国も優位性を保ち北朝鮮の指導的立場でいられなくなるなど、北朝鮮が軍事拡大をして得する国はありませんからね。
ということで、北朝鮮に核実験をやめさせてミサイル発射もさせないことが着地点です。
Q.拉致再調査に取り掛かる北朝鮮の狙いは日米の分断、とありますが、どんな背景があるのでしょうか?
A.北朝鮮にとって本当に怖いのはアメリカです。
日本とアメリカは同盟国なので、日本を味方に付ければアメリカにも影響が及ぶと考えられます。
小泉政権の時に、拉致被害者5人を取り返して日本に帰国させたら、下降気味だった小泉政権の支持率は跳ね上がりました。日本にとって拉致問題の解決は非常に関心が高い。だから、北朝鮮は切り札として拉致再調査を受けたのでしょう。経済制裁の一部解除も魅力です。
しかし、北朝鮮問題は周辺国(アメリカ、ロシア、中国、韓国、日本)と当事国を入れた6カ国協議で解決を図るのが基本です。日本だけが北朝鮮と近づくことにアメリカは不快感もあります。その辺を見透かした北朝鮮の策略もあります。
いずれにしろ、北朝鮮は経済的にも苦しい状況なので突破口が欲しいということなのでしょう。(佐藤尊徳)
[参考:「米、日朝接近に懸念」(日経新聞2面 2014年5月30日)]