安倍内閣は7月1日夕方の臨時閣議で、集団的自衛権の行使が可能となる憲法解釈変更を決定した。密接な関係にある他国への攻撃により「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合などに限り行使可能になる。”限定的”であることを理由に、慎重派だった公明党が30日に閣議決定案を受け入れることで一気に進んだ。自国が攻撃された場合に反撃する個別的自衛権に限ってきた戦後日本の安全保障政策が、これを機に大きく転換されることになる。安倍総理は記者会見で、行使容認は限定的で、抑止力によって日本が戦争に巻き込まれるおそれは一層なくなっていくと説明した。
しかし、変更された解釈はいずれも抽象的であり、行使に際して歯止めをかける具体的な規定はない。そのため、約200の地方議会では行使容認に反対、または慎重な審議を求める意見書が可決されるなど、武力行使の範囲拡大について懸念する声も少なくない。
尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.30日の夜から深夜にかけて、首相官邸前で行使容認を反対する大規模なデモが行われました。決して賛成多数なわけではない今回の解釈変更を、ここまで強く進める姿勢はどこからきているのでしょうか?
A.安倍総理は、反対が多くても、やらなければならないと感じているからでしょう。
安倍総理との長いお付き合いのなかで感じるのは、政治家としての強い思いです。自らの信念で正しいと思うことをやろうとしているのでしょう。
公明党も結局、自分たちの主張を曲げましたね。所詮、与党でいたいがための党でした。最初からそうだとは思っていましたが。ということで、折り合いをつけるために玉虫色の主張になったのでしょう。
総理の思いにたじろぎましたね。
僕個人は、憲法解釈だけで集団的自衛権を認めるというのは、危険だと思います。堂々と改憲をぶち上げて選挙すればいいと思っています。ただ、改憲は3分の2の数を集めなければいけない(参議院は解散できない)ので、非常に難しい。歴代の内閣もできませんでした。
その先の改憲が最終目標だとはいえ、その前にまずは機運を高めようとしているのだと思います。既成事実を作るとでもいうか。やるなら今でしょ、と総理は考えているのだと感じます。
Q.デモは、やめてほしいという意思の表現だと思います。これで閣議決定されてしまうなら、デモ以外に直接訴える方法はないのでしょうか?
A.全国民がデモすれば止まりますよ。どんなものにも反対派はいるわけで。デモが局地的だと判断されたのでしょう。
だから、マニフェストがあって、国民との契約をするのです。有権者がまとまって、選挙で反対票を投じて閣僚を次の選挙で落とすしかありませんね。間接的にでも安倍総理を選んだわけだから仕方ありません。
もし、止めたいのであれば、これだけ情報の伝達手段があるわけですから、誹謗中傷をせずに、堂々と批判意見を訴え、世論を突き動かす努力をするべきです。司法に訴えることもできますが。
いずれにしろ、有権者は政治に参加するべき(少なくとも投票くらいしましょうよ)だと思います。そうしないと、反対する権利もありません。(佐藤尊徳)
[参考:「集団的自衛権 きょう閣議決定」(日経新聞1面 2014年7月1日)]
★★もっと知りたい!読者が限られたメルマガならではの濃い情報★★
無料メールマガジンの登録はコチラ