今年秋に改定する最低賃金の引き上げ議論は、全国平均で780円台に乗るかどうかが焦点。目安になる賃金、物価、企業利益の3つの指標は2013年にすべて上昇しているため、引き上げの条件は整っているが、経営側は慎重な姿勢。最低賃金が生活保護を下回る逆転現象を解消するために、2007年から積極的に賃金を引き上げてきたことが背景にある。
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Q.最低賃金は都道府県ごとに決まっていて、最も高い東京と最も低い沖縄などとの差は205円もあります。これでは地方から人がいなくなるのは当たり前だと思いますが、最低賃金に大きく影響するのは何で、今後地方の賃金が上がるためには何がどうれなればいいのでしょうか?
A.うーん……賃金も経済原則で決まりますから、それだけで地方に人がいなくなる、というのは早計です。
だって、賃金は高いけど家賃や物価がバカ高かったらどうします? 地方はそれなりに安いですよ。名目賃金は高いけど、実質賃金は安い、という事も有り得ます。それよりも、産業がないことが地方を疲弊化させるのでしょう。
同じ競争条件(税金もそんなに差異がないなど)なら、情報も集まる東京に出てきたいと思いますよね。もっと地方独自の政策を認めてあげないと。
最低賃金は生活保護を下回らないように決めますよ。そうしないと働く意欲がなくなるでしょ。
でも需要と供給のバランスですからね。人手不足になれば時給は上がりますし、政府が最低賃金を引き上げれば、その分雇う人を絞るかもしれないし、難しいですよね。いずれにしろ、新産業を創出していけるような規制改革、税制改革が必要でしょう。(佐藤尊徳)
[参考:「経営側は慎重姿勢 引き上げ議論、月内に決着」(日経新聞5面 2014年7月3日)]
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