経常黒字(輸入額より輸出額が多いこと)や、少しでも高い利回りを求める先進国から流入する投資マネーで、新興国の通貨が上昇。新興国が自国の通貨高を抑えるためにドル買い為替介入(通貨当局が外国為替相場に影響を与えるために外国為替市場で通貨の売買を行なうこと)を続けた結果、為替介入に使用する資金である外貨準備が急増し、中国や韓国で過去最高を更新しました。
今は先進国から新興国にマネーが流れる形で安定していますが、実態がともなっていない可能性もあり、逆流すると市場が混乱するリスクも。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.経済成長に伴って、通貨が高くなるのは、好ましいことではないのですか? なぜ自国の通貨の価値を抑えようとするのでしょうか?
A.日本は円安になると株価が上がりませんか? 輸出で外貨を稼いでいる国は通貨が安い方がいいじゃないですか。
新興国は外貨を輸出で稼ぎます。先進国の高いものはそんなに買えないじゃないですか。だから、輸入よりも輸出の方が圧倒的に多いです。もともと人件費も安いのですから当然ですよね。
Q.市場が混乱するというのは、どのような現象が起きるのですか?
A.順を追って説明しましょう。
先進国が超低金利政策を取っているので、投資家は利子が安く、借りやすい先進国で資金を調達します。そのお金が、高金利(リスクが高い)の新興国に投資マネーで入ります。
新興国は通貨高になると輸出で稼げなくて困るので、為替介入を行うと(この場合は自国通貨を売ってドルを買う)、ドル高、自国通貨安になって外貨準備高が積み上がります。先進国と新興国の間でマネーがめぐっているわけです。
このとき、ドルが高くなるので、米金利が上がり、自国通貨が安くなるという現象が起こるのに、米金利が上がらないので、自国通貨が高いまま、ということになって、輸出でお金を稼げません。
世界的に異常な金利操作(先進国の低金利政策)が行われて、景気を刺激しようとかなり無理をした結果です。低金利を続けると、カネ余りが起きて、いろんな投機も起きますので、実体経済とかけ離れたバブルが発生します。いつまでも続くわけはないので、このバブルが弾けたときが要注意です。(佐藤尊徳)
[参考:「新興国、外貨準備が膨張」(日経新聞3面2014年8月4日)]
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