体験型ビール工場見学!アサヒ「スーパードライ ミュージアム」に行ってみた

2021.8.11

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体験型ビール工場見学!アサヒ「スーパードライ ミュージアム」に行ってみた

1987年の発売開始から現在までのスーパードライの歴史をぐるりとパネルで紹介する「SUPER DRY HISTORY」 写真:芹澤裕介

アサヒビールは2021年4月、茨城工場内に「スーパードライ」ブランドとしては初となる常設施設「スーパードライ ミュージアム」をオープンした。同工場では今までも「アサヒの工場見学」という名称で製造工程紹介&ビール試飲の見学ツアーを開催していたが、スーパードライの世界観を五感で体感できる体験型施設へと一新。普段からビールを愛飲しているユーザーはもちろん、特に20代前半の若年層に工場できたてのビールのおいしさを体感してもらいたいという狙いがあるという。そんな「スーパードライ ミュージアム」を体験すべく7月某日、茨城工場へと向かった。

“ドライクルー”が誘う魅惑のスーパードライの世界

アサヒビール茨城工場の最寄り駅である守谷駅へは、つくばエクスプレスを利用するのが便利だ。快速に乗れば秋葉原から35分ほどと都心からのアクセスは良好。守谷駅からは無料の工場送迎シャトルバスが運行している。

守谷駅から10分ほどで到着するシャトルバスはこのエントランス前で下車。スーパードライ好きとしては、ブランドカラーであるシルバー、赤、黒を基調とした入口からすでにワクワクする

受付後、まずはスーパードライシアターに案内され、アンバサダーに就任した白石麻衣さんのウェルカムメッセージや、スーパードライができるまでのストーリーなどを観賞する。17メートルの5K大型スクリーンに映し出される黄金色に輝く液体の映像に思わず(あぁ~早く飲みたいっ!)となるが、ここはグッと我慢。“ドライクルー”の案内でいよいよミュージアム体験のスタートだ。

ダイナミックなワイドスクリーンで“スーパードライの世界観”にグッと引き込まれるスーパードライシアター 画像:アサヒビール
左右にパネルやデジタルサイネージが設置され、頭上に赤いライトが光るトンネルのような廊下を進む。この先に何があるんだろう?と期待が膨らむ演出だ

現在はコロナ禍ということで一回のツアー定員は11名までとなっている。この日案内してくれたドライクルーの宮田さんによると「以前は一度に40名程のお客様をご案内することがありましたが、今はじっくりゆっくりお楽しみいただけます」とのこと。約60分のツアー中は動画撮影や録音はNGだが写真撮影はOK。むしろ「#スーパードライミュージアム」でどんどんシェアしてほしいとアナウンスがあった。ちなみに館内のロビーとドライホールにはWi-Fiが装備されており、スーパードライの発売年月日(いつかわかる?)がパスワードになっていたりする。

おなじみのメタリックシルバーのパッケージデザインは、年代順に並んでいると細かい部分が変わっていることがわかる

ツアーは原材料、仕込み、発酵、熟成といった工程を順に追いつつ、スーパードライができるまでのさまざまなこだわりを“体感しながら”進んでいくのだが、ところどころで紹介される数字の豆知識が地味に面白い、というかすごい。例えば最初に乗るエスカレーター横の階段には、1200本の350ml缶の写真があるのだが、実はこれ、エスカレーターが上に到着するまでの45秒間に製造されるスーパードライ缶の数だという。

目の前に伸びるエスカレーター。よく見ると右側の階段にはスーパードライの350ml缶の写真が。製造のスピード感を視覚で体感できるユニークな展示だ

初めてスーパードライの「辛口」の意味を知る

ところで「ビールの辛口とは何?」と聞かれたら、答えられる人はどれくらいいるだろうか?

「フレーバーの強さ」と「時間経過」をグラフにしたテイストカーブなるものを説明してくれた宮田さんによると、スーパードライは一般的なビールと比べて、飲んだ瞬間に感じる深い味わいが瞬時に消えていくのだという。グンと上がって一気に下がっていくその“キレのある味わい”こそがスーパードライの特徴である「辛口」なのだとか。

製造工程はドライクルーの説明とともにこのようなパネルで紹介される

次の発酵工程では、その辛口の決め手となる酵母が登場。スーパードライには「318号酵母」という重要な酵母が存在していて、熟成タンクに見立てた「318発酵ビュー」と呼ばれるSF映画に出てきそうな円柱形の装置の中をのぞき込みながら、ビールの発酵・熟成の仕組みを映像で学ぶ。

厳選された原材料を使って麦汁を作る仕込み室には大きな窯がたくさん並ぶ。館内はこの麦汁の香りが漂っていてマスク越しでもわかるほどだ

さらに進むと実際のタンクが窓越しに見える通路に出る。と、ここでまた数字の豆知識。そのタンクは直径8m、高さは20mあり、仮に大瓶1本を毎日飲み続けたとしても中身を全部飲み切るまでには約2000年かかる計算なのだとか。(に、にせんねん~?!)と、途方に暮れてしまいそうな数字に戸惑ったが、とにかく熟成タンクが巨大ということはわかった。さらに茨城工場にはそのタンクが約150本あるというから驚きだ。

ここ茨城工場の一日のビールの生産量は350ml缶換算で約590万本。茨城、千葉、埼玉、東京23区、群馬の人が普段飲んでいるスーパードライは全部この茨城工場でできたものだという

その後は、ろ過、官能検査という工程を経て、ビールを缶に詰める「充填」のコーナーへ。ここは今回のリニューアルの目玉コンテンツ「スーパードライ ゴーライド」が楽しめる。

スピード感ある充填工程を体感できる映像コンテンツ「スーパードライゴーライド」は、ちょっとしたアトラクション気分

案内された空間で4面スクリーンいっぱいに投影される映像を観るのだが、まるで自分が缶の上に乗って工場内のコンベアーを滑り降りているかのような臨場感を味わえる。缶に製造日付を打ったり、缶を洗ったり、ビールを詰めて蓋をするといった工程を、スーパードライになった気分で楽しめるのだ。この充填工程では、ビールをおいしく飲むために重要な要素「鮮度」へのこだわりも紹介された。

ビールは時間が経つと酸化してキレやすっきりした味わいが損なわれていく。そこでアサヒビールは“鮮度活動”として「酸化を抑える」と「工場できたてのうまさをお届け」という2つの取り組みに力を入れている。この鮮度向上活動は1990年代前半に「製造~出荷10日以内」を達成して以降、5日台、4日台と徐々に短くなっていき、現在スーパードライなどの主要製品は、製造から出荷まで3日台を達成しているという。

サステナビリティのコーナーも興味深い。これはアサヒビールの全工場で出る副産物や廃棄物の再資源化が100%達成できていることを説明するパネル。ろ過工程で残った麦芽の殻は牛や豚などの飼料となっている

最高鮮度のスーパードライはやっぱり格別

地上60mのアイムタワーにある「スーパードライホール」。ここがビールの試飲会場

ミュージアム体験の最後に向かう「スーパードライホール」では、お待ちかねの試飲が待っている。ここではスーパードライの樽生と、“氷点下のスーパードライ”こと「エクストラコールド」の2種類の試飲が可能で、工場できたてのうまさがウリだ(試飲時間は15分間、一人2杯まで)。ビール以外にも、ノンアルコールのアサヒドライゼロや三ツ矢サイダーなどのソフトドリンクも用意されている。

今回はエクストラコールドを飲んだのだが、とにかくおいしい、とにかくうまい! まさに“できたてのうまさ”。どれくらいできたてなのか聞いてみると、前の日にできたロットだという。前述した通り「製造から出荷まで3日台」が最短なので、間違いなくこの場所でしか飲めない鮮度抜群のスーパードライということになる。

粗い泡を全部落として、きめ細かい泡だけが残るように注ぐのでびっくりするほどクリーミー! 普段飲んでいるビールとは全然違う

2杯目は自分で生ビールを注ぐサーブ体験も可能だ。さらに、専用マシンでビールの泡に文字や画像を描く“泡アート”を施したスーパードライも楽しめる。

こうした、試飲のみだった従来の見学型ツアーとは一味も二味も違う新しいビール体験が好評だという。

専用マシンでビールの泡に文字やマークなどがプリントされる泡アート。こちらは特別に作ってもらった“政経電論ver.”。飲むのがもったいないけどっ!

案内をしてくれた宮田さんに「普段案内していて一番好きなコーナーは?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「辛口のテイストカーブの説明のところですね。スーパードライがお好きで普段から飲んでいらっしゃるお客様でも、『辛口』がどういう意味なのかご存知ない方が多いんです。あのコーナーで説明をした後に試飲されて“辛口ってこういうことだったんだね!”と笑顔で納得してもらえるのがうれしいです」

「特に若い世代の人たちにスーパードライのうまさを、本当のビールの味を知ってもらいたいですね」と話してくれたドライクルーの宮田さん

かくして60分のツアーはあっという間だった。見学ものにありがちな堅苦しい説明部分はなく、むしろもうちょっと見ていたいと思わせるパネルの作り込みに感心した。“五感で体感できる体験型”を謳うだけあって「スーパードライ ゴーライド」など新感覚の映像体験も印象的だ。

黒地に赤で統一されたオシャレな館内はデートにもいいだろうし、若い女性グループでの来訪が増えているというのもうなずける。「やっぱりビールはおいしいものをおいしく飲みたいよね」と再認識させてくれたミュージアム体験だった。

スーパードライ ミュージアム

住所:茨城県守谷市緑一丁目1-1

アクセス方法:守谷駅から工場送迎シャトルバス運行

体験ツアー予約方法:電話にて完全予約制

0297-45-7335(スーパードライ ミュージアム ご案内係)

受付時間9:15~16:00

入場料:無料

定休日:不定休

体験ツアーは1時間おきに一日5回開催(10時/11時/13時/14時/15時)。体験ツアー所要時間は約60分。一回あたりの人数11名まで。

※新型コロナウイルス感染症予防のため、体験ツアーの受付に際して在住地域が制限される場合があります。詳しくは施設へお問い合わせください。

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