ギリギリセーフの「非エリート論」

プロフィール、ありますか?「ギリギリセーフの『非エリート論』」

2014.9.10

ビジネス

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今、会社に勤めている方は履歴書を書いた経験があると思います。運がいいか、我慢強い人なら、学生時代に一回書いたきり。転職をしている人は何度か書いていることになりますね。では、「プロフィールを書いたことがある人は?」と聞くと、ずいぶんと数が減るのではないかと思います。履歴書とプロフィールの違いって何でしょう? 自己PRするという点では同じですが、やはり違うような気がします。今回は、ビジネスマンのプロフィールについてお話をします。

株式会社経営戦略パートナーズ 代表取締役

別所 諒 べっしょ りょう

1969年生まれ。都留文科大学卒業。ビジョン・コンサルタント。株式会社経営戦略パートナーズ代表取締役。個人や企業のビジョンを形にするコンサルティングを行う。クライアントは有名コンサルタント、セラピストから社員数100名の企業まで多岐に渡る。王道を外した個性的な個人や企業のコンサルティングが得意。従って、クライアントは少し変わっているので、毎日仕事が楽しい。

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自分を売り込めるプロフィールを作る

履歴書とプロフィールの違いとは何か? 結論から言いますと、履歴書は過去の羅列、プロフィールは過去・現在・未来を示したものとなります。これらにとって最も大切なのは、何の専門家なのかがわかる、ということです。当然ながら、履歴書よりもプロフィールの方がその人の人となりがよくわかると思います。

私自身、独立をしてからプロフィールの大切さを実感しています。独立当初は資金がありませんでしたので、立派な会社案内など作成することができません。営業に行ってもツールがない。きちんと話を聞いてもらえる状態なら、パワーポイントで作った資料でプレゼンをすることができます。しかし、時間がない場合や挨拶だけをする場合には、せいぜい名刺でアピールするくらいしかありません。もちろん、名刺といっても社名に名前だけが入ったものでは私が何をしているのかがわかりません。

口頭で説明しても、よほどのインパクトがないと1時間もすれば相手は忘れてしまいます。特に、私のような「経営コンサルタント」なんて仕事は、「ビジネスマン」と言っているのと同じで、肩書ではほとんど自己紹介にもなりません。

そういうわけでプロフィールというのは、自分を資本として独立する人にとっては生命線となるわけです。世の中には「仕事が取れる名刺」なるものがあります。何冊も本が販売されていますし、セミナーも開催されています。こうした名刺の作り方はさまざまですが、共通しているのは、自分の専門性を明記すること、プロフィールで共感されることです。独立を考えている人にとってはプロフィールを作成するのは常識ですし、最重要なので「プロフィールライター」という仕事をしている人もいます。

経験=数ではダメ

このように大切なプロフィールですが、会社に勤めている人は作成したことがないようです。自社の商品を差別化しようとして考えている広告マンが自分を差別化できていないということも珍しくありません。必要ないといえばないのかもしれませんが、企業のサラリーマンでも自立した人材を求められる以上、自分のプロフィールを作成してみることをおすすめします。自己PRをする際に、必ず有効になります。

私は以前、あるベンチャーの取締役として、採用を担当していたことがあります。中小企業なので正直、人材採用に苦労していました。若いスタッフを雇いたいと思っても、年齢制限はできませんから、年齢の高い人が面接を受けにやってきます。彼らはできれば安定した大手企業に入りたいと思っていたようですが、採用されず、理想を落として私のいた会社に面接を受けにやってきていました。

成長途中のベンチャーですから、仕事は忙しいし高い給料は払えません。希望としては、安い給料でもバリバリ働いてくれる若手が欲しいわけです。もちろん、成果に応じて給料は上がる仕組みになっていたので、ブラック企業ではありません(念のため)。

ところが、年齢の高い人はそれまでの年功序列の体系では給料も高い。希望の給料は前職と同じか、それ以上になります。採用側としては、支払う給料以上の仕事を期待します。私はいつも同じ質問をしていました。

「例えば、あなたと若い人が同じ仕事ができるなら、給料の安い人を採用しますよね? あなたを採用した場合、高い給料をお支払いすることになります。若い人との違いは何ですか?」

するとほぼ確実に返ってくる答えは、「経験があります。」というものです。そこで、「どんな経験ですか?」と質問をすると「年数」「仕事の本数」など、「数=経験」という答えが返ってきます。もちろん、数をこなすことでスキルアップの可能性が上がることは否定しません。しかし、経験を数で話す際には私たちには注意が必要になります。

少し前の新聞記事で、将棋の羽生名人が経験について語っていたのを読みました。経験を価値のあるものにしなければならないという話です。つまり、現在の若手棋士はコンピューターを使うことで、打ち手のパターンを飛躍的に多く経験できるようになっており、年上の棋士よりもはるかに短時間で「経験」ができるというものです。

経験は未経験に対処するためのもの

私たちの仕事にも同じことが言えます。すべてがアナログだった時代に比べ、今は仕事がどんどん簡単になっていると思います。理由はご存じのとおり、インターネットの出現です。情報収集だけではありません。独立をするにしても、無料で宣伝に使えるツールがどんどん増えています。こうした情報化社会では、どんどん情報の価値が下がります。情報は限りなく無料になっていきます。

知っていることでは意味がありません。効率的に仕事をする方法、経験を補うツールが増えている以上、経験を自らの価値にする方法とは、経験のない場面に遭遇したときに、どう対処するのかということになります。

つまり、経験のないことのために経験を生かすということ。禅問答のようですが、価値のある経験とは、経験のない事態に対応できる能力をいいます。そのうえで、自分は何の専門家であり、どういった人(お客さん・企業)にとって、何を提供できるのかと棚卸してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、プロフィールを考えるにあたっては、

・読んでほしい人は誰か
・自分の強みはなにか
・強みが強みである証拠・実績
・強みに至るまでのストーリー
・これから何をしようとしているのか(未来・夢)
・何のためにそれをするのか(使命)

なんてことを考えてみることをおすすめします。