日本初、XRコミュニケーションハブ「NEUU(ニュー)」 西新宿がデジタルエンターテインメント発信拠点に

2022.11.10

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日本初、XRコミュニケーションハブ「NEUU(ニュー)」 西新宿がデジタルエンターテインメント発信拠点に!?

写真:小池彩子

小田急電鉄は11月1日、新宿西口に「XR(X Reality、Extended Reality)」をテーマにした常設施設「NEUU(ニュー)」を開業。NEUUは、XR作品を楽しめる「体験スペース」、最新デバイスをレンタルし作業ができる「ワークスペース」、新製品やサービスを展示する「ショールーム」の3つのゾーンで構成。同施設の誕生は、新宿の新しい街づくりのひとつとして期待されている。

XRが新宿の街をもっと魅力的に

10月31日、オープンに先立ちXR体験ができる記者会見が行われた。

“クロスリアリティ”とも呼ばれるXRは、現実空間に情報を重ね合わせる拡張現実「AR(Augmented Reality)」、現実空間とは異なる空間に入り込む仮想現実「VR(Virtual Reality)」、現実とデジタルが融合しお互いが作用しあう複合現実「MR(Mixed Reality)」の総称を指す。NEUUは、日本初のXR特化型複合施設。最先端のデジタル技術が体験できるスポットとなっている。鉄道会社である小田急電鉄がNEUUを開業させた理由を同社の星野晃司社長は「XRが街や移動を魅力的にする」と話す。

「コロナ禍によって鉄道は大きな影響を受けました。一例を挙げると、在宅勤務等で今後も2割程度は通勤客が戻らないだろうと覚悟しています。どのようにすれば、また鉄道利用を増やせるのかが課題です。その大きな方向性として、移動する目的を自らつくり出し、移動する空間や時間そのものを魅力的にする必要がある。私たちは、XRにその役目を期待しています」(小田急電鉄 星野社長)

小田急電鉄株式会社 取締役社長 星野晃司氏

NEUUが開業する西新宿は「スマート東京」先行実施エリアであり、NEUUも東京都の「西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアム」における「5Gサービス実装プロジェクト」として実施される。小田急電鉄はこれまでも小田急百貨店のある新宿を舞台に、購買支援サービスやXRに特化した国際映画祭などを実施してきた。今回のNEUUの開業は、デジタルと現実世界を融合させたさまざまなプロジェクトを加速させる取り組みといえる。

小田急電鉄は、グループに江ノ島電鉄や箱根ロープウェイなどのモビリティを有し、路線上には箱根や江の島、大山といった観光地もある。星野社長曰く、新宿を皮切りに、そうした移動空間や場所もXRで魅力的にしていくという。

「今回のNEUUの開業で、新宿をさらにクリエイティブ、エキサイティングな魅力あふれる街にアップデートしていく。それが小田急の新しい使命と認識しています」と思いを込めた。

NEUUの開業に伴い、東京都のデジタル化を推進する元ヤフー社長で現副都知事の宮坂学氏は「コンソーシアムの第一弾であるNEUUによって、世界最先端の技術を誰もが体験できるようになることは素晴らしいことだと思います。クリエイターの創作の場、発表の場をつくることは未来に向けてとても大事。未来のヒーローがこの場所から生まれ、西新宿が、デジタルエンターテイメントが生まれる場所と呼ばれるようなれば」とコメントした。

東京都副知事 宮坂学氏

3つのゾーンでXRの世界を満喫

館内は、XRの体験スペース、クリエイターのワークスペース、最新デバイスのショールームの3つのゾーンがある。

XRの体験スペースは、世界屈指のクリエイターが手がける作品が視聴でき、カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭などの著名な国際映画祭にノミネートされた作品も登場。常時4、5作品がラインナップされ、1作品ごとにチケットが購入可能となっている。作品は、3カ月に一度の更新を予定。作品の体験は、オンライン予約(優先)または直接受付、1作品につき10分前後、600円〜で作品により異なる。

最大36席のワークスペース 写真:小田急電鉄

ワークスペースは、XRクリエイターが新たな表現を創作し、交流ができる場として活用される。利用者は、5種類以上の最新デバイスをレンタルした上で自由な創作が可能。利用料金は、デバイスの利用料を含み、1時間あたり600円。また、通常のコワーキングスペースとしても利用できる。ワークスペースを活用して、毎週土日には、次世代のXRクリエイターを輩出する「VRプロフェッショナルアカデミー」が開校され、世界的なXRクリエイターを招くイベントも開催予定。

ショールーム

ショールームはXRにかかわるデバイスやサービスを展示。最新モデルを手に取って試すことができる。将来的には販売も予定しているという。

最新のXRエンターテイメントを体験!

PC-VRシステム「VIVE Pro」を付けて体験。

さて、XRの世界がどうなっているのか、実際に体験した感触をお伝えしたい。最新のデバイスを装着した視界の先には、どんな最先端のエンターテイメントが待っているのだろうか。

11月の開業時は、「Feather」「BEAT」「MOWB」「In the pictures」の4作品がラインナップされている。今回は、このなかから伊東ケイスケ氏の制作した「Feather」を体験。

こちらのVR作品は、小さな人形の少女がバレエダンサーになる夢を目指す物語。ストーリーが進行するなかで、体験者が少女にFeather(羽)を受け渡すことで、すくすくと成長していき、バレエダンサーになる夢が進んでいく。作品の長さは12分だ。

体験には、片手で使えるコントローラーを持ち、頭にヘッドマウントディスプレイを装着。専門のスタッフがサポートしてくれるので初めてでもスムーズだ。

スタートすると、視界は一気にVRの世界に突入。VRは、その自由度によって3DoFと6DoFの2種類があり、6DoFのほうが自由度は高い。6DoFは、3DoFが対応する頭の回転や傾きに加え、頭が上下・前後左右に移動する動きにも対応しているため、没入感や操作性が高い。「Feather」は、6DoFに対応した作品だ。

ディスプレイ画面には、懐かしい昭和テイスト(?)の子ども部屋で、テレビに映るバレリーナを観て、夢を膨らませる少女が登場。体験者の前に瞬きながら現れたFeatherは、コントローラーで動かすことができ、少女に渡せるようになっている。Featherの魔法を受けた少女はバレリーナへのステップを昇っていき……。ここから先は実際のVRを体験してほしいが、こちらのアクションに少女が意外な反応を見せるシーンもあって、XRならではなのインタラクティブな仕掛けも楽しめる。

12分の作品時間は、その没入感のせいかあっという間。頭や目をフルに使う感覚があり、少女を成長させた、というちょっとした達成感とともに心地良い疲れを感じた。通常の映画と違って時間が短く凝縮されているので、何種類か体験してみるのもおすすめだ。

今回開業したNEUUは、ビジネス街やショッピング街である西新宿がデジタルエンターテイメントの街となる新たな可能性を感じさせるスポット。場所は新宿西口ハルクの裏通りにあり、新宿駅西口から徒歩1分。XRに関心を寄せる企業や若きクリエイターはもちろん、子どもから大人までが楽しめるスポットになりそうだ。

NEUU(ニュー)

場所:東京都新宿区西新宿1-5-11 新宿三葉ビル1階

営業時間:9時~21時 ※定休日:火曜 ※最終入場20時

料金:

XRコンテンツ

600円~(税込)

※作品により異なる

ワークスペース

  • 1時間以内:600円(税込)
  • 3時間以内:1,200円(税込)
  • 6時間以内:1,600円(税込)
  • 1日(12時間):2,000円(税込)

※最新鋭のXR機材の無償貸し出し。利用時間、施設内での利用に限る
※COSTA COFFEE 無料。その他のドリンクは有料

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