中央出版を中核とするKTCグループが創立50周年 次なる50年に向けて
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中央出版を中核とするKTCグループが創立50周年 次なる50年に向けて

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1972年に学習教材を届ける会社として始まり、現在では全国に子ども英会話教室「ペッピーキッズクラブ」やナビ個別指導学院といった学習塾運営など、さまざまな事業を展開するKTCグループ(以下、KTC)。50年の歩みの中でどのように成長してきたのか、そして次代へ繋げるテーマとは何か。歴史を振り返りながら見ていくとしよう。

50年の歩み

KTCの歴史は1972年に創業した教育図書センター株式会社からスタートする。KTCという名称は同社の略称であり、創業当初から社内で呼称されていたのが由来だ。「家庭の教育をサポートする」という使命を掲げてはいたが、当初は他社の教育商品を売るという販売代理店からスタート。自費出版を始めたのは80年代に入ってからで、高度経済成長期という時代背景もあって、学齢に合った様々な商品をリリースし、事業拡大にもつながったという。

日本の中央(中部地方)に教育の総合出版社を創ろうという壮大な夢を抱いての創業だった

“教材を“つくる”“とどける”事業に変化が起きたのは90年代から。教材を購入したお客から「教材は確かに良いものかもしれないけれど、うちの子はうまく使えていない」「どうせなら、それを使って教えて欲しい」といった声が寄せられるようになったことから、FAXを使った通信教育にも進出。“つくる”“とどける”に加え、“おしえる”サービスを展開するようになった。

2000年代になると、世の中もこれまでのような偏差値重視の学習から、興味を広げる学習へとニーズが変化していく。教育の多様化に合わせてKTCも教育総合出版社から、教育総合企業へと成長。2010年代から「パブリックソリューションサポート」という理念を掲げるようになり、現在に至るという。

6つの事業を生んだ「パブリックソリューションサポート」

「パブリックソリューションサポート」とは、「社会課題など、世の中で困っていることを、解決するためのお手伝いをする」ということだ。教材の販売代理店を経て「出版・メディア事業」、「教育サービス事業」などで成長したKTCだが、現在では通信制の「屋久島おおぞら高等学校」や日本語学校などを展開する「人材育成・学校事業」、子ども向けの英会話教室や海外留学サポートなどを行う「語学・海外事業」など教育にまつわる事業は多岐に渡る。

「屋久島おおぞら高等学校」は2005年に開校。KTCグループ初の学校となった

さらに、2012年には待機児童問題へのサポートとして認可保育園「アイン保育園」を開園。ほかにもいわゆる“小1の壁”へのサポートとして民間学童保育「HugPON!(ハグポン!)」やリハビリに特化したシニア向けデイサービス「はなのき」といった「暮らしのサポート事業」や住宅総合リフォームサービスなどを請け負う「住環境デザイン事業」などの事業も展開するようになる。これらは多くの家庭と向き合う中で、教育以外の事にもさまざまな課題があることに気づいた結果であり、その“気づき”が前述の「パブリックソリューションサポート」という理念に通ずることになる。

「アイン保育園」は現在、愛知県と神奈川県に13カ所を展開。KTCグループの原点である「幼児教育」の集大成だ
リハビリ専門のデイサービス「はなのき」は2015年にスタート。「自立したシニアを増やし、家族と笑顔になる社会づくり」を目指す

教育から“共育”そして“協育”へ

また、50年の歩みの中で事業の中核である“教育”についても“気づき”があった。それは“教育”の機会を提供する中で、「教える側も成長している」ということだという。KTCではこれを「共に育つ」という意味で“共育”と定義している。

さらに、かつて生徒だった人が今では先生としてスタッフに加わったり、親が子どものころに受けていた教育サービスをその子どもが受けるようになったりといった“循環”も起きるようになったことから「協同・協力し合いながら育つ」という意味で“協育”と定義。教育とは“共育”であり、そして“協育”へと繋がることを知ったのだった。

50年続くために必要な4つの価値観

KTCでは“協育”という考えと共に大切にすべき4つの価値観があるという。それは「つながり」「人」「成長機会」「スピード感」。「つながり」は家庭、世代間、親と子、先生と生徒といったつながりが事業を派生的に生み出していったことから。そして「人」は、それぞれの事業の中心であり、「人を育てるのは人でしかできない」という考えからだ。

「成長機会」はそれを提供することで、生徒だけでなくその周囲や社内のスタッフの成長を促すことにも繋がっていった。最後の「スピード感」は、偏差値重視の教育から興味を広げる学習など、およそ10年単位で変化する世の中のニーズや課題に合わせて走り続けてきたことから生まれた。この4つの価値観で50周年を迎えたのだという。

次の50年は未来へ繋げる「明日へのバトン」

KTCが次の50年に向けて新たに掲げたテーマが「明日へのバトンを、今。」だ。今は未来が見えにくく、来年がどうなっているのか、明日でさえ何が起こるのか分からない時代だからこそ、“協育”で支え合い、未来に希望を描きたい。そのために子どもたちも大人も分け隔てなく繋がって “明日へのバトン”を渡していくことが、新たな学びや機会、ソーシャルビジネスを生み出すことに繋がっていく。目指すは学びや希望を紡ぎ合う世界、というものだ。「明日へのバトン」は“パブリックソリューションサポート”や“協育”、そして4つの価値観を内包させたワードなのである。時代が変わってもあらゆる人と人を繋げ、問題解決に取り組み続ける限り、KTCの果たす役割も続いていきそうだ。