統一地方選・前半は維新が大阪W選、奈良知事選勝利 後半戦の注目は?

2023.4.11

政治

0コメント
統一地方選・前半は維新が大阪W選、奈良知事選勝利 後半戦の注目は?

4年に一度、地方選がまとめて実施される統一地方選は、前半戦となる4月9日に9道府県知事選などの投票が行われ、大阪府知事と大阪市長の“ダブル選”はいずれも大阪維新の会の候補が圧勝した。維新は奈良県知事選でも日本維新の会公認の候補が勝利し、大阪以外で初の知事を誕生させた。41道府県議選では自民党が選挙前からやや議席を減らしたものの、大阪以外の40道県議会で第1党となる堅調な戦いぶりだった。

議席を倍増、大阪以外でも躍進を見せた維新

統一地方選の前半戦は知事選と道府県議選、政令市の市長選と市議選が行われる。まず、大阪府知事選では現職の吉村洋文氏が243万票を獲得し、「反維新」勢力が擁立した候補を圧倒。奈良県知事選では保守分裂となるなか、日本維新の会が公認した元生駒市長の山下真氏が元総務官僚の平木省氏、現職の荒井正吾知事らを振り切り、初当選した。

保守系候補の三つ巴となった徳島県知事選では前衆院議員の後藤田正純氏が現職らを押しのけ初当選。新人同士の戦いとなった大分県知事選では自民、公明両党が推薦する前大分市長の佐藤樹一郎氏が野党系の前参院議員、安達澄氏を破って初当選した。北海道と神奈川、福井、鳥取、島根では現職が手堅く再選を果たした。

大阪では市長選も同時に行われたが、政界引退した松井一郎前市長の後継候補となった前府議の横山英幸氏が65万票を獲得して初当選。反維新勢力の象徴として対抗馬に名乗りを挙げた前自民党市議の北野妙子氏は26万票にとどまった。大阪では府議選、市議選ともに維新が過半数の議席を確保。特に市議会での過半数獲得は初めてで、大阪における維新の勢いの強さを見せつけた格好だ。

維新は地盤である大阪以外でも徐々に支持を広げつつあり、18の道府県で計124議席を獲得し、選挙前の59議席から倍増させた。神奈川県議会で初めて6議席獲得したほか、北海道や福岡県議会でも初の議席獲得となった。

苦戦となった自民と共産、女性比率は高まるも投票率は過去最低に

国政第1党である自民党は道府県議選で1153議席を獲得し、選挙前から86議席減らしたが、大阪以外で第1党、そのうち24議会では過半数を獲得した。日頃からの地域活動の成果が出たとともに、岸田内閣の支持率が回復傾向にあることも堅調さの背景にありそうだ。

国政の野党第1党である立憲民主党は道府県議選で185議席を獲得し、選挙前から7議席増やしたが、自民党の2割以下にとどまった。同じ民主党の流れをくむ国民民主党は選挙前と同じ31議席となった。

共産党は道府県議選で75議席となり、選挙前から24議席減。社民党は3議席で選挙前から3議席減らした。伝統ある両党の苦戦の裏には新興政党の存在があるもようで、維新が各地で議席を伸ばしたほか、2022年の参院選で議席を獲得して話題となった参政党が青森、石川、福井、熊本の4県で4議席を獲得した。

今回の統一地方選では女性比率も注目されたが、道府県議選の女性の当選者は316人で、前回の237人を大幅に超えて過去最高となった。全体に占める割合は14%でこちらも過去最高となったが、国会議員の女性比率が5割を超える国もあるなか、まだまだ政界への女性進出を阻む“壁”は高いと言えそうだ。道府県議選の当選者のうち、最年少は25歳の2名だった。

投票率は9道府県知事選が46.78%、41道府県議選が41.85%で、いずれも過去最低を更新した。統一地方選は選挙期日をまとめることで投開票の作業を効率化したり、有権者に効果的に投票参加を呼びかけたりするのが目的だが、著名人を使ってただ「投票に行こう」とCMやポスターで呼びかけても若者や無党派層は動かない。政治の側がしっかりと政策で競い合い、有権者に訴えかけていけるかが問われている。

後半戦の注目は解散総選挙も見据えた6補選

後半戦の投開票は4月23日(日)で、一般市や東京都区部の市区長選と市区議選、町村長選と町村議選が行われる。注目は同時に行われる5つの衆院補選と1つの参院補選だ。

衆院千葉5区は自民党の前議員が政治資金規正法違反で議員辞職したことがきっかけ。逆風が予想される自民党は30代の女性候補を擁立し、立憲民主や維新、共産、国民などの野党各党の候補との乱戦となりそう。衆院和歌山1区は国民民主党議員だった岸本周平氏が県知事に転出したことに伴う補選で、岸本氏と議席を競ってきた自民党前議員や関西圏で存在感を増す日本維新の会、共産党などの争いとなった。

衆院山口2区は岸信夫前防衛相が体調悪化を理由に辞職したことに伴う補選で、自民党は岸氏の長男を擁立。民主党政権で閣僚などを歴任した元議員が野党系の統一候補として無所属で立候補し、一騎打ちの構図となった。衆院山口4区は安倍晋三元首相が銃撃され死亡したことに伴う補選で、自民党は安倍氏の後継として元下関市議を擁立。立憲民主党の前参院議員らとの戦いとなった。

参院大分選挙区は野党系の安達氏が知事選に立候補したことに伴う補選で、自民党公認の新人と立憲民主党公認の前参院議員の2人が立候補し、与野党一騎打ちとなっている。同選挙区は2019年に野党系の足立氏が制したものの、2022年は自民党の新人が国民民主党の現職を破った激戦区。野党系統一候補が死守するか、自民党が奪い返せるか注目だ。

岸田文雄首相は統一地方選の後半戦に合わせた衆院解散は見送ったものの、6補選で良い結果を出せば解散論は勢いづくだろう。5月19~21日に首相の地元広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)を開催し、解散総選挙という流れが既定路線となるか、それとも野党の踏ん張りでその勢いを止めることができるか。6補選の結果次第で永田町の動きが大きく変わりそうだ。