12月16日に開かれた政労使会議で、政府は2014年に続く賃上げ継続に向け、実質賃金の伸びがプラスとなる大幅賃上げを要請。経済界は最大限の努力を図るとし、合意文書がまとめられました。
労働組合をまとめる連合は、2015年の春季労使交渉で2%のベア(ベースアップ)を求めていて、定期昇給も合わせた賃上げ率の要求は合計で4%と強気。
政府の要請もあり経営側ではベア実施を容認する声が聞かれますが、一律に引き上げるベアは長期的に賃金を左右するため、警戒も少なくありません。
また、安倍総理は「円安で高収益の企業は下請け企業に支払う価格にも配慮を求めたい」と援護しているようですが、中小企業に普及するかが焦点になります。
2014年は定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率が2.07%と1999年以来15年ぶりの高い水準となりましたが、消費税増税や円安による物価の上昇に賃金の伸びが追いついておらず、実質賃金の伸びはマイナス。個人消費の低迷も続き、アベノミクスの効果が浸透されるには至っていません。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.賃金が上がれば、国民が豊かになって、国も潤い、良い循環が生まれる。そんな簡単な話なのでしょうか?
A.そうだよ。簡単な話。ま、経済的な裕福が精神的な裕福に直結するかは別だけど。
実質賃金が上がらなければ(物価上昇率の方が高ければ)意味がない。インフレになって、企業の収入が増えて、インフレ率以上に賃金上昇率が高くなれば、税収も増えてハッピーじゃない。
Q.アベノミクスの効果が浸透して、経済的に豊かになっているとは思えません。政府は経済界に対して、今後も継続して賃上げの要請をしていく意向のようですが、いつまで続けられるのでしょうか?いずれ経済的な豊かさを実感する時がくるのでしょうか?
A.それはわからない。
上記のとおり、賃金上昇が経済的な裕福さを実感できる唯一の方法でしょ。それを一番に望んでいるかどうかは別に。
そもそも、政府が賃上げ要求をすること自体おかしなこと。自由主義経済なのだから、賃金は企業の自由。”お願い”であれば理解はできるけど。
経団連は自民党にべったりだから、できるだけ聞くと思う。
(佐藤尊徳)
[参考:「賃上げ継続、幅が焦点に 政府『実質プラス期待』」(日経新聞5面 2014年12月17日)]
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