日本人の個人金融資産は1650兆円(日銀・資金循環統計 2013年末)で、その大半は高齢者が持っているといわれています。
そんななか、2015年度の税制改正の議論のなかで、若者に資産を移しやすい環境を作る方向性が見えてきました。高齢者から消費が旺盛な若年層に資産を移し、消費拡大につなげようという考えです。
今回変わるもののひとつは、贈与税の非課税枠の拡大。親や祖父母が子供や孫に教育資金、住宅資金などを贈与する場合の金額が拡大され、非課税になる期間も延長されます。
また、投資の運用益が非課税になるNISAは、投資枠を年100万→120万円に拡大するほか、2016年からは、20歳未満の人の口座を親権者が運用する際、年80万円まで非課税になる”子ども版”が創設されます。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.高齢者は使わないお金をどうしているんでしょうか?
A.僕も40代後半になって以前のように量を食べられなくなってきたの。それに気力も体力も20代のときとは違う。そんなに消費できないよ。
物欲も、若い頃のようにそんなにはなくなってくるから、わざわざムダ遣いはしないんだよ。ということで、その先の老後のために貯金をしてるんじゃない?
Q.最近の若者は安定志向というし、もらったお金を貯蓄しませんかね? 若者のほうが消費が旺盛なら、若者の賃金を上げたらいいと思うんですけど。
A.確かにそういう考えがあってもいいけど。
ただ、賃金は経験や知識に比例するところもあるから。若い人の賃金を上げて、段々下がっていったら、働く意欲もなくなってしまう。それにお金は、20代半ば~40代の子育て世代が一番必要なのでは? ということは、10代~20代前半の若いときに先取り賃金だと、一番必要なときに使ってしまってない、ということになりかねない。
日本は年功序列、終身雇用で、退職金制度で、給料の後払い、という性格もかつてはあったよ。どれがいいのかは、時代によって変化していかないとね。
とはいえ、日本の貯蓄率は高過ぎだよね。もっと投資や消費に回るように制度や認識を変える努力をしないと。
(佐藤尊徳)
[参考:「若者へ資産移転、消費促す 税制改正議論大詰め」(日経新聞3面 2014年12月24日)]
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