丸紅グループは、社是「正・新・和」の精神に基づき、様々な社会貢献活動に取り組んでいる。その中で、「誰もが参加できる共生社会」の実現に向けて中心的な役割を担っているのが、社会福祉法人丸紅基金だ。本稿では丸紅の社会貢献の考え方やその歩み、丸紅基金の活動などについてレポートする。
丸紅グループの社会貢献の3つの柱
丸紅グループの社会貢献活動は「文化保全・継承」「共生社会」「自然・環境」の3つの柱がある。
「文化保全・継承」では、祖業である繊維業を通じて得た知見やネットワークを活かし、伝統文化・技術の保全と未来への継承に取り組む。自社が所有する和洋絵画や染織品といった貴重なコレクションをオフィスビル内のギャラリーで公開し、また、文化的、芸術的価値が高い染織品などの文化財の修理を行っている。
「共生社会」は、あらゆる人が参加可能な共生社会の実現に向けた取り組みで、後に詳述する丸紅基金や、海外奨学基金などがある。
「自然・環境」では自然との共生を目指して、森林保全活動や清掃ボランティアなどを実施。また、丸紅東京本社1階の植栽エリアは、東京都の在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」に優良緑地として認定されている。
このように、丸紅では「社会貢献は企業の社会的使命」との考えに基づき、様々な角度から活動を行っている。
「丸紅基金」とは
丸紅基金は、全国の社会福祉活動を行う団体・施設を助成するための主体として、丸紅株式会社の出捐により1974年に設立された。具体的には、障がいのある人や高齢者、子ども、貧困など様々な困難を抱える人たちを支える福祉団体や施設を対象に、車両や機器の購入、施設の改修、イベントや講座の開催など幅広い分野において毎年1億円の助成を行ってきた。設立50周年を迎えた2024年度からは年間助成総額を3億円に拡大。これまでの助成実績は累計約3,200件、総額は55億円を超える。
丸紅基金の特徴は、行政の手が届きにくい分野や、規模は小さくても先駆的でユニークな取り組みを積極的に支援する姿勢だ。ひきこもり支援、女性保護、フードバンク、地域コミュニティづくりなど制度の狭間に置かれがちな人たちに、民間基金ならではの柔軟さを生かした支援を行っている。以下にその活動の一部を紹介する。
助成事例①
助成でショベルカーを導入し、作業効率アップ!

長野県の一般社団法人徳広エネルギー工房の「maica」は、障がいのある人たちが“社会の役に立つ喜び”を感じられることを大切にしている。自然豊かな環境の中で、薪づくりや木材加工品づくり、地域の農作業の手伝いなど、一人ひとりが自分らしく生きるスキルを身につけられるようにサポートを行っている。丸紅基金の助成で導入したショベルローダーは、「ローダーちゃん」と呼ばれ、親しまれている。これまで人力で行っていた夏場の丸太や木材チップ、土の運搬作業や、冬場の雪かきといった重労働が軽減され、作業の効率も大きく向上した。近所の農家からローダーちゃんの貸し出しを依頼されることもあり、地域の人々との新しいつながりも生まれている。

助成事例②
助成で送迎車を1台購入、街中から離れた学校への生徒の足として活躍!

不登校の子どもたちが自然の中で体を動かす中で、少しずつ自信を取り戻していく姿を見守り、「社会に出ても前向きに生きる力」を育んでいるのが、群馬県の特定非営利活動法人ぐんま里山学校。ここでは、子どもたちが自分でやってみたいことを見つけて思いきり取り組める時間を大切にしている。子どもたちが豊かな自然や動物とのふれあいを通して心身の回復と学びを深めるため街中から離れた環境にあり、送迎が欠かせない。しかし、家庭によっては送迎が難しいケースもあり、送迎車1台だけでは対応しきれない状況だった。丸紅基金の助成により送迎車をもう1台増やすことができ、日々の活動の大きな助けとなっている。

助成事例③
瓦屋根を助成で葺き替え。安心して過ごせる憩いの場ができた!

大分県の特定非営利活動法人 Teto Companyは、「ひとりぼっちをつくらない地域・社会をつくる」というビジョンのもと、誰でも気軽に立ち寄ることができる多世代型の地域コミュニティ。子どもからお年寄り、障がいのある人たちが集まり、自然に声をかけ合いながら交流できる空間だ。しかし、活動拠点の古民家は昔ながらの重い瓦屋根がたわんでいて、いつ瓦が落ちてくるかもわからない状態だった。丸紅基金の助成で軽い瓦に葺き替えることで安心して過ごせるようになり、天気のよい日には縁側のウッドデッキでお昼ごはんを食べたり、駄菓子屋さんを開いたりと、幅広い世代の地元の人々が集まる場所となっている。

社会福祉に従事する人々の想いに寄り添う
丸紅基金が助成を行った施設や団体のみなさんは、困難を抱える人たちを支えるだけでなく、その人らしい個性や能力が発揮されていくことにも力を注いでいる。「人がいて、夢がある。」をビジョンとする丸紅基金は、そうした思いに寄り添いながら、これからも活動を続けていきたいと考えている。
基金の原資を生み出す仕組み
そのためには原資が必要だ。丸紅基金は丸紅からの出捐金とその運用収入が原資の大きな柱だが、それだけではない。他にも基金を支える柱がいくつもある。
丸紅グループの役員・社員・元社員の有志が、毎月一口100円から寄付をする「100円クラブ」や、100円クラブで集まった寄付金と同額を丸紅が寄付する「マッチングギフト」だ。また、丸紅ギャラリーの入館料や社員食堂の寄付つきメニューの寄付分も原資となる。
このように個人と企業が力を合わせて支える複層的な仕組みづくりによって、共生社会の実現に向けた取り組みを途切れることなく続けることができているのだ。

丸紅グループと丸紅基金のこれから
丸紅基金の取り組みはは、創設50年を超えてさらなるステージへと歩み出している。障がいの有無や年齢、性別、貧富の差などに関わらず、すべての人が夢を持って自分らしく生きられる社会になるために、丸紅グループは社会の変化を踏まえながら社会貢献活動を積み重ねていく。
