“岩盤規制”の一つである雇用規制を崩す第一歩となる、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度案がまとまってきました。年収1075万円以上の専門職に限り、1日8時間・週40時間を基本とする労働時間規制から外します。懸念される過労を防ぐため、年間休日数の確保などが条件。
また、働き方の拡大として、有給休暇の消化義務化、中小企業の残業代50%増のほか、裁量労働制を簡単に導入できる仕組みや、フレックスタイム制も改善します。
「ホワイトカラー~」の課題は、対象者が金融ディーラーやアナリスト、医薬品の開発者、システムエンジニアなど、かなり絞り込まれていること。国税庁の調査では20万人を下回るという。
法案は今国会で成立させ、2016年施行を目指します。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.職種によっては「ホワイトカラー・エグゼンプション」は効果的に働くと思います。課題の対象者は、どのようにして広げていくことができると思いますか?
A.広げたほうがいい? わざわざ法律で規制しないといけないのかな?
労働基準法は1947年の戦後まもなく、占領下で成立して、現在の労働環境に合ってないと思う。一日8時間の労働じゃなくても良くない? それこそ、労使が話し合って、成果主義を入れればいいと思うけど。
ホワイトカラー・エグゼンプションは、経営側に有利と見られているため、労働組合を中心に反対が多い。だから今回も、年収基準も引き上げて、とりあえずやってみようか、という感じで始まる。
労働組合が強くて規制撤廃ができないのであれば、できるところから風穴開けて少しずつ広げていけばいいのではないかと思う。
Q.今回の労働規制の緩和は、少子高齢化で人口が減っていく日本を救う手段になり得ますか?
A.働き方と少子化は関係ないと思う。
もともと年収1000万円以上の人たちは、「忙し過ぎて」子供を作らないわけではないから。子供を増やす施策、というのはそんな簡単じゃない。この程度のことでは是正できないよ。
貧国にとっては、子供も労働力。そこから貧乏子だくさん、という言葉もできた。逆に物質的に裕福になると、教育費など、成人するまでお金が掛かけて育てるようになる。物質的な裕福さを最大限突き詰めていこうと思ったら、そんなにたくさん子供を作れないでしょ? すると、少子化は必然。
今後の日本は、仮に国民全員が結婚したとして、一家に最低2人は子供がいないと、人口が減っていくんだよ? 裕福を享受した先進国において、少子・高齢化の問題は深刻。価値観を変えて、子供=コストという概念を捨てさせる教育をしていかないとムリだ。
国家の衰退とは労働人口が減って、経済の活力がなくなること。だから、若者が政治に参加して、本当の意味で将来を俯瞰した政治を行わないと、とんでもないことになる。
(佐藤尊徳)
[参考:「年収1075万円以上の専門職対象 労働時間規制から除外 厚労省案、過労防止を条件に」(日経新聞1面 2014年1月8日)]
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