折れたJA全中 巨大な農村票はどこへ行く?

2015.2.10

政治

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 全国の農家が所属する農業協同組合(農協)という組織において絶大な権限を持つ中央組織【JA全中】。安倍政権農協改革に向けて、JA全中の監査・指導権を撤廃し、一般社団法人化する提案を同組織にしてきました。

 当初は拒否したJA全中ですが、一転、政府の提案を受け入れることを決めました。1954年に発足して以来60年ぶりの大改革。JA全中の万歳章会長は「農家の所得の増大に向けて改革に臨んでいきたい」と語っています。

 農協改革は、全国約700の地域農協の競争力を高め、経済的に強い農家を作ることが狙い。地域農協はこれまで、JA全中に対して監査の対価に年間約80億円の負担金を払ってきましたが、社団法人化でそれがなくなるほか、地域農協の上部組織で、農産物の集荷・販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)は株式会社化も可能になっていきます。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q.JA全中はなぜ一転して社団法人化を受け入れたのでしょうか?

A.それ以上抵抗して、組織の解体にまで手をつけられたらたまらないからじゃないかな。

 安倍首相の改革に対する固い決意を感じて、ここは一歩譲って出た方が得策だと思ったのでは? 農協の中にも改革派はいるわけで、時代の流れを汲み取って現実的な落としどころを探ったのでしょう。

Q.自民党の大票田である【農村票】の行方はどうなると思いますか?

A.そんなものそのうちなくなっていく。現に少しずつ減ってるし。全員が票を入れるわけじゃないし。

 とはいえ、投票率の低いなか、人口の少ない農村部でも1議席、都会の中心部でも1議席だったら、農村票はバカにならない。1月の佐賀県知事選で、農協が推した候補者が、知名度不足といわれながらも中央が推した候補者に勝ったのは象徴的だったね。(佐藤尊徳)

[参考:「農協60年ぶり改革 競争促進へ転換」(日経新聞朝刊1面 2015年2月10日)]

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