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資生堂が研究員を”みなとみらい21″に集める理由 2018年末稼働、新研究所「グローバルイノベーションセンター」

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1872年創業の資生堂は、「美しい生活文化の創造」を企業理念に掲げている。2014年に発表した中長期戦略「VISION 2020」の目玉となる新研究所「グローバルイノベーションセンター」(GIC)は、新しい生活文化創造の新拠点として注目を集めている。

化粧品から美容、その先へ
島谷本部長が語る化粧品研究の革新

島谷庸一氏
執行役員常務 研究開発本部長 島谷庸一氏

「よりお客様の近くで研究を行っていく」

弊社の強みは、なんといっても長年培ってきた研究開発力。研究所には優秀な人材が多く揃っており、皮膚科学や細胞生物学、コロイド科学など、化粧品開発の根幹となる要素技術の蓄積も豊富です。

しかし、研究員が新しい技術の開発を何年もかけて成功させても、なかなか最終商品に生かされない現実があります。製品化されず埋もれてしまった技術や研究の蓄積を再編集して、多くの革新的な製品を生み出してきたことも事実ですが、やはり新しい発見や技術は、可能な限りタイムリーに生かしていくのが理想です。

お客さまにとって価値ある研究成果を生み出していくためには、もっとお客さまの近くで研究を行っていく必要があると考えました。お客さまのライフスタイルを起点に、サイエンスを組み合わせていくという意識構造に変えていきたいんです。GICは、基礎研究を始める段階からお客さまのリアルなインサイトやニーズを知り、反映させるための絶好のロケーションです。

最終的には、化粧品だけでなく、お客さまのライフスタイル全般をよりよく変化させるような”美のイノベーション”を起こし、新しい価値を創造、提案していけたらと思っています。

 

GICイメージ
※イメージ

研究の途中でいつでも顧客にヒアリング!
顧客と触れ合い”情緒価値”の高い商品を創出

女性が化粧品を選ぶ際、電化製品のように単純に機能だけを見ているわけではない。高機能であることはもちろん、製品のパッケージや香り、色など、感性に響く”情緒価値”が重要なポイントになる。こうした商品の情緒価値を高めるため、同社では感性工学や脳科学、行動心理学など幅広い研究を行ってきた。GICの開設はアクティブな消費者とのコミュニケーションを容易にし、より顧客起点の価値創出が期待されている。

また、化粧品の開発過程における色や香りなどの選定は、研究者同士だけでなく、消費者のリアルな感性も踏まえて、感覚を共有することが大切になる。GIC誕生によって約1,000名の研究員がそうした感覚的な価値も同じ場所で共有し話し合い、感性と科学を融合させて、製品開発にイノベーションを起こしていく。

オープンな研究所で変革を図る

資生堂が掲げる新しい事業テーマの柱のひとつが”イノベーション”。同社は長い歴史のなかで、世界トップクラスの基礎・基盤研究を蓄積し、革新的な商品を生み出してきた。

日本市場が少子高齢化などを受けて飽和状態に向かうなか、同社は老舗企業として利益拡大を図るべく、より企業の強みを生かした中長期ビジョン「VISION 2020」を発表。マーケティングや研究開発投資の拡大、グローバル事業の強化などを行い、2020年には連結売上1兆円超を目指す。

売上高研究開発費率は1.8%から2.5%まで引き上げ、全世界にいる研究員も1,000名から1,500名まで増員する計画だ。注目は、横浜・みなとみらい21に建設される新研究所GIC。現在、横浜・都筑にある研究所の機能・設備・人材を拡充するとともに、これまでの研究スタイルを革新する。

GICのコンセプトのひとつである「都市型オープンラボ」を具現化する新施設の核は、アクティブな消費者と研究員が直接コミュニケーションできる1階スペース。ふらりと立ち寄った消費者に、肌測定器やメイクアップシュミレーター、毛髪診断用機器などを体験してもらい、資生堂の技術や製品の魅力を伝えていく。それだけにとどまることなく、センター内で研究を行う研究員たちも、消費者とのリアルなコミュニケーションを随時図り、メーカー発想の研究からより消費者の心に共鳴するコトを創出する研究開発へと変革していく。

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