誰もが一度は口にしたことがある乳酸菌飲料「カルピス」。そんなカルピスの製造工程で生まれる香りに、リラックス効果があることが最近の研究で分かった。カルピスは一般的な乳酸菌飲料と違い、乳酸菌による発酵の後、酵母を使った発酵を経ることが特徴。このダブル発酵時の香りに、ストレスや不安感を減らすチカラがあるという。
科学的に解明された3つのリラックス効果
カルピス社では、乳酸菌と酵母で発酵させた「発酵乳」の香り成分の効果を、ラットを使って検証した。香りをかいだラットは、リラックスすると増す副交感神経活動が活発になり、ストレスを感じると増す交感神経活動は低下。【癒し効果】が確かめられた。
また、休むべき時間帯である【休息期の活動量がしっかり低下】していることも確認。オン/オフのリズムにメリハリをつけやすくなることがわかった。
さらに、行動の変化に関して、香りをかぐ前は物に隠れる傾向にあったラットが、香りをかぐと表に出てくることから、【不安感の抑制効果】も確認された。
これらの効果は、乳酸菌を発酵させた一次発酵乳だけでは得られず、二次発酵ならではだという。ヒトへの効果も検証中で、近く学会発表を予定している。
長澤まさみの体は知っている? CMの秘密
「何でカルピスを飲むと気持ちが落ち着くの?」――カルピスの新CMでは、長澤まさみが素朴な疑問を投げかける。実はこの疑問、長澤本人が以前から不思議に思っていたことだとか。理屈を知らなくても体で効果が感じられる、カルピスの隠れた力をPRしている。
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大事なプレゼンの前に発酵乳の香りを嗅ぐと…?
「発酵リラックスルーム」に潜入
カルピスの香りに満ちた泡々の空間が誕生
2015年4月、東京・恵比寿のカルピス本社に「発酵リラックスルーム」が誕生した。カルピスの二次発酵時の甘く爽やかな香りを、独自の装置で満たした空間だ。5分ほど座っているだけでリラックス効果が得られるという。休憩時間に社員が立ち寄って、重要なプレゼンなどの前に肩の力を抜くといった使い方を想定している。
壁には発酵時の泡をイメージした丸い突起を、低反発ウレタンで作った。見て楽しく、触っても和める仕掛けだ。さらに、群馬工場のタンク内で実際に発酵している様子をディスプレイに流し、癒しムードを演出。利用者が効果を実感しやすいよう、入退室時に指先から心拍数を測れる装置とタブレット端末を用意した。
部屋は同時に5人まで利用できる。利用は当面、カルピスの社員に限られるが、夏に向けて一般のカルピスファンを招待するイベントも構想中だ。