家電量販店最大手のヤマダ電機が、大規模な店舗閉鎖計画を発表。5月末までに50店近くがシャッターを降ろすこととなります。閉鎖の対象店舗は大半が郊外型、近隣に自社店舗があるケースが多く、効率運営には閉鎖・統合が有効と判断。不採算店を一気に閉鎖・転換し、運営の効率化に繋げたい考えです。
ヤマダは家電量販店では最大手ですが、2015年3月期の純利益が93億円と前期比で半減。消費税増税やネット通販の普及で、売上高大幅減に苦しんでいます。2年前にも減収減益の苦境に立たされており、創業社長の山田晃氏にとって今回の一斉リストラは2度目の”ショック療法”となりました。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q店舗数拡大型戦略の限界が見えてきているのでしょうか?
Aうーん……リアル店舗の戦略転換の時期なんじゃないかな。
Amazonや楽天などECが台頭して、価格.comのような価格比較サイトが利用される世の中で、人件費を使うリアル店舗は価格競争では勝てなくなってきている。
リアル店舗では丁寧な説明が聞ける、保証がしっかりしている、などの安心感はあるだろうけど、在庫を抱えないネット専門の業者にはコストではかなわない。駅近などの利便性がないと競争力に劣るんじゃない?
Q前期比半減と聞くと、他の家電量販店の業績も心配になってしまいます。
Aこれまでも下位の量販店が上位に吸収合併されてきて、再編が起こることは間違いないよね。随分と収束してきたけど。
かつて、松下電器(現パナソニック)の強さは町にあるナショナルショップだった。電球の付替えからテレビの取り付けなど、きめ細かいサービスも含めて選ばれていた。その重要性がなくなる事はないけど、高齢化で町の電気屋さんの数は激減したよね。
量販店もなくなりはしないけど、(家電の)品揃えや価格で差別化をするのは限界に来ているから、別の利点を出していかないと。かつては圧倒的なバイイングパワーでメーカーから価格決定力を奪ったけど、ネット台頭のなかでは、ビジネスモデルを変えていかないといけないね。
(佐藤尊徳)
[参考:「ヤマダ、ショック療法再び 一斉閉店を発表」(日経新聞朝刊11面 2015年5月26日)]
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