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C&IホールディングスCEO 村上 絢 私には村上の意地がある

2015.09.10

社会

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写真/湯山恭嗣 文/佐藤尊徳

旧村上ファンドの村上世彰さんの長女・絢さんが率いるC&Iホールディングスが、電子部品商社の黒田電気とのプロキシーファイトで敗れた。その差はわずかだったが、その後、C&Iは黒田電気が私文書を捏造して株主総会を有利に進めようとした証拠を提示。尊徳編集長が、CEOの村上絢さんにその真意を直撃した。

株式会社C&Iホールディングス 代表取締役CEO

村上 絢 むらかみ あや

1988年生まれ。慶應義塾大学卒業後、モルガン・スタンレーMUFG証券に入社。2015年6月より投資会社、C&Iホールディングス代表取締役CEO。父は”もの言う株主”として知られる村上世彰氏。

株式会社損得舎 代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳 さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。

Twitter:@SonsonSugar

ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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黒田電気は内部留保を放出して資本効率を高めるべき

尊徳 2015年8月21日の臨時株主総会(臨総)で、あなた方の提案が否決されたけど、そもそも6月26日の定時株主総会(総会)で提案すればよかったのでは?

村上 総会前から、一層の株主還元も可能だし、世界と戦うためにも電子部品商社業界の再編が必要だと、黒田電気側とコミュニケーションを取っていました。総会でも同様の質問をしたのですが、思ったような回答を得られなかったので、臨総の提案をしたのです。

尊徳 結果は負けたよね。どう分析してる?

村上 まだわれわれのイメージが悪いのでしょうか。短期的な利益追求型で、中長期的な企業価値を向上できないと思われているのでしょう。また、アクティビストへの拒絶感も日本にはまだあると思います。

尊徳 お父さんは真っ直ぐ過ぎて誤解もされたけど、あなたがトップならこれからイメージも変わるよ(笑)。では、黒田電気に関して短期的な売り抜けは考えてはいない?

村上 はい。それに経営権を取ろうと思っているわけじゃありません。社外役員に入って、話し合いをしながら企業価値向上を考えていました。

尊徳 勝っていたらどうしようと思ってたの?

村上 内部留保を再編に使うのか、株主還元に使うのか、資本効率の向上を友好的に役員で議論していきたいと思っていました。

日本の上場企業のPBR(株価純資産倍率)は1.5倍でアメリカは3倍です。ROE(株主資本利益率)は日本が7%でアメリカは15%。これは、日本企業が250兆円もの内部留保を溜め込んでいるからです。黒田電気も同様ですが、株主還元なのか、レバレッジをかけるなり放出して資本効率を高めるべきだと考えています。

村上絢、佐藤尊徳

黒田電気はやり方が姑息でムカつく。徹底的に戦いなよ。(尊徳)

写真/湯山恭嗣

捏造を見逃したら株主総会の重要性が失われる

尊徳 ところで今回、会社側からの不正が出てきたという主張を臨総後にしているよね。

村上 はい。8月5日に自生会従業員一同から、われわれの提案に反対する声明文が出てきました。これが金子孝会長、細川浩一社長指示のもと、村橋執行役が捏造をしたものだということがわかりました。それに伴う録音データの証拠も持っています。

尊徳 なぜ、臨総前にアクションをしなかったの?

村上 捏造だという確固たる証拠を臨総の前に得られていなかったからです。まず臨総で賛成を得て、ガバナンスを利かせて改革しようと考えていました。

賛成は得られませんでしたが、われわれの理念であるガバナンスの利いた会社を作っていくためには、ここで撤退することはできないと思い、弊社できちんとした調査を行って証拠のテープを得ることになりました。

尊徳 証拠がなければ負け犬の遠吠えだからね。ではもし、捏造ということがわからなかったら?

村上 株主に支持されなかったわけですから撤退していたと思います。

尊徳 社外役員もいるでしょ? 捏造について反応は?

村上 今回リリースを出す前に、弁護士の山下社外役員にお電話をしたのですが、忙しいからと電話を切られてしまいました。ですので、全役員の方に調査をしてほしいと手紙を出したのです。極めて悪質なガバナンス上の問題です。これを見逃してしまったら株主総会の重要性が見失われてしまいます。

尊徳 黒田電気のやり方は何か姑息でムカつくから徹底的に戦いなよ。

 

本当は会社の自浄作用に期待したい

村上 まずは、(会社側の)調査結果を見極めます。納得のいくものでなければ刑事告発も検討しますが、結果が出るまで2年かかります。その前にもう一度、臨総を提案します。われわれの望みは会社の自浄作用で変わること。外圧で変えるのは本意じゃないんです。

尊徳 臨総開いて結果は変わるかな?

村上 われわれに反対したシュローダー(外資の投資ファンド)は臨総前から株を売っています。次の臨総を開く頃には居なくなっているのではないでしょうか。それに国内の年金基金は受託者責任もありますし、ガバナンス違反のある会社に賛成はできないでしょうから、棄権をすると考えられます。分母(議決権)が減りますから、勝てるのではないかと。

尊徳 今回も負けたとはいえ4対6でしょ。お父さんが出てきた10年前とは変わったよ。時代が追いついてきたってことだ。それで、次の提案内容は?

村上 ガバナンス違反を犯した会長、社長の解任です。後任は社内でしかるべき方を推挙してもらうことも考えています。会社の自浄作用が起きることを期待しています。

村上絢

意地とガバナンスのために絶対突き進みたい(村上 絢)

写真/湯山恭嗣

投資家・村上絢のお手並み拝見

尊徳 今後の投資行動とか、先のことをどう考えてるの?

村上 株主還元だけを提案すれば賞賛されるかもしれないのに、どうしていつも敵対的にやるのか?と言われますが、資本効率の向上は株主還元だけではないと思っているだけです。父が10年前に株主還元だけを求めたときには批判されましたけど、今はそれが当たり前になってきました。結果として、今の提案が敵対的になったとしても、10年後の日本の国益に貢献できることもあるのではないかと思っています。

尊徳 あなた方は特に短期的な利益のことしかクローズアップされないからね(笑)。それを世間にアピールするには、とにかく勝つことが先決だと思う。黒田電気も支配権を取られるわけじゃないんだから、村上世彰さんを役員に入れてみればいいんだよ。本当に経営ができるかどうか僕も見てみたい。
ところで以前のようにファンドにして、もっと大きな投資をしようとは思わないの?

村上 ファンドにすると投資家に利益を還元しなければならないので、それこそ短期的な収益だけを追い求めることになりかねませんから、考えていません。意地とガバナンスのために絶対突き進みたい!というときに突き進めるように、自己資金でやっているんです。”今日このために”やってきたんだってことだと思います。

尊徳 ファンドだったら、ここで撤退する選択肢だよね。日本のクローズドな市場をこじ開けるためにも、お手並み拝見。微力ながら僕も訴え続けるので、信念を貫き通してよ。

尊徳・絢

株式会社損得舎代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。
Twitter:@SonsonSugar
ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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