安倍首相が10月下旬に中央アジア5ヵ国を訪れます。訪れる国はトルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン。この内ウズベキスタンとカザフスタンを除く3カ国への首相訪問は初めて。
安倍首相が訪れる5ヵ国は旧ソ連の構成国で、現在も”ロシアの裏庭”といわれ、ロシアと深い関係にあります。
また、トルクメニスタンを除く4ヵ国は上海協力機構(SCO)の加盟国でもあり、各国の大統領は9月3日に開かれた中国の抗日戦争勝利70年記念式典にも出席。中国とも安全保障や経済などの分野で連携を強めています。
日本政府内には「日本は地域との関係構築で大きく遅れをとっている」という声もあり、ロシア・中国とつながりが強い地域に対して、首相の訪問で日本の存在感を高める狙い。
また、民間企業幹部が同行する予定で、経済協力をテコにして石油や天然ガスなどが抱負な地域との結びつきを強めて、エネルギーの安定確保につなげたい考えもあります。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q中露のお膝元と聞くと、あまり日本は歓迎されなさそうなイメージを受けます。小泉首相の際はどうだったのですか?
A冷戦時代ならいざ知らず、歓迎されないなんてことはないよ。小泉さんのときもそう。
旧ソ連から派生して独立した国々は、そんなに豊かなわけじゃない。それに、わざわざ独立したのだから、ロシアの影響力を排除したい国もある。経済協力してくれるなら、基本的にどの国だって歓迎だよ。
Q日本は中央アジアの国々と関係構築ができてないという指摘もあるようですが、ほかの国はどのような関係を築いているのでしょうか?
A確かに日本はお人好しだから、国交でも中国のようにガツガツと入り込むことはしない。
例えば中国は、日本よりも多くのアフリカ諸国に入り込んで投資している。だからといって、中国人が好かれて尊敬されているかは疑問。
日本が中央アジアの地域とそんなに関係構築できてないとは思わないし、今からでも遅くないよ。肝心なのはどういう振る舞いをして、何をするかだから。
(佐藤尊徳)
[参考:「首相、中央アジア訪問へ 来月下旬5カ国」(日経新聞朝刊4面 2015年9月17日)]
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