佐藤尊徳が聞く あの人のホンネ

内閣総理大臣 安倍晋三「重圧があるからいい決断ができる」

2014.1.10

政治

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写真/若原瑞昌

第1号に引き続き、安倍晋三総理との対談。「辞めた後にやりたいことは?」と聞くと、笑いながら「後でゆっくり考える」と答えた。総理という重圧は計り知れないものがあるはず。ぜひ、国益のために信念を貫いてほしい。(編集長 佐藤尊徳)

株式会社損得舎 代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳 さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。

Twitter:@SonsonSugar

ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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 内閣総理大臣

安倍晋三 あべ しんぞう

1954年9月21日、東京生まれ。日本の政治家。第90・第96代内閣総理大臣。自由民主党所属の衆議院議員(7期)、内閣総理大臣(第90代、第96代)、自由民主党総裁(第21代、第25代)。自由民主党幹事長(第37代)、内閣官房長官(第72代)、内閣官房副長官などを歴任した。

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「迷うことだってたくさんありますよ」

尊徳 企業でもそうですが、トップは孤独です。それが、総理大臣ともなれば、プレッシャは並のものではないと思われます。敢えて、苦労話を聞いてみたいのですが。

安倍 どこのトップでも同じでしょうが、総理大臣の大きな仕事は物事を決断することです。最初から方向性が決まっているものに関しては、推進力を付けて、物事を運べばいいだけの話ですが、迷う場合もあります。これは小泉総理もよく仰っていましたけど、両方の意見がそれぞれに説得力があって、難しい問題は多々あるわけです。というか、それぞれの意見が分かれることの方が多いです。決断する時には、一方の意見の人たちを切る形になるわけですから、それは辛いことです。

例えばTPPの問題は党内でも様々な意見があります。その交渉に(日本が)いつ参加するかという時期に関しても、参議院の前か後か、訪米の前かなど、直前まで慎重に判断を重ねて、最後には決断をしなければなりません。多数意見をはねのけても、国益のために行動しなければいけないという判断も、ときには致します。

また、初めから決めていたことというのは、大胆な金融緩和の推進などです。それには(推進役の)日銀総裁を、その方向に導いてくれる人選をして、(ポストに)据えることができるかが、政治的な手腕の問われるところです。
消費税を8%に上げる決断を下すには、(さまざまな意見があり)悩み抜きました。

尊徳 決断をする決め手のようなものはあるのですか?

安倍 案件ごとに違いますよ。決め事があるとすれば、とにかくどちらの意見もよく聞き、あらゆる選択肢を検証して、最後には後悔しないように決断するということです。
どちらにも理があることの方が多いですから。しかし、最後には責任をもって、総理大臣が決めなければ物事は進みませんから。

尊徳 自分の決断により、一国が間違った方向に行ってしまわないかという重圧に負けることはないのですか。

安倍 重圧は当然ありますが、総理大臣の責務として、必ずついて回るものですから、負けていたら総理大臣は出来ませんよ(笑)。ただ、重圧があるからこそ、間違った判断をしてはいけないと強く思うのではないでしょうか。

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「安倍内閣に課せられた使命は強い経済を作ること」

尊徳 長期的に成し遂げたいことはなんですか。

安倍 安倍内閣に課せられた使命は、まず強い経済を取り戻すことです。衆議院選挙でも参議院選挙でも、(国民と)約束をしていますから、それにはデフレからの脱却が必要で、まだまだ道半ばです。これには賃金上昇が欠かせないので、そのような政策を強く推し進めたいです。

尊徳 具体的にどのような政策が必要ですか。

安倍 アベノミクス3本目の矢ですが、過剰な規制を緩和していくことです。例えば特区です。教育制度、医療の分野は岩盤規制の一つだったのですが、特区で風穴を開けて行きたいし、過当競争と言われる業界を再編に導き、グロバルな競争に勝てるようにしていきたいです。設備投資、人材への投資を促進する制度をしっかりと作っていきます。

尊徳 最後にまだ先の話なのですが、総理を辞めた後にやりたいとことはありますか。

安倍 さすがにまだ先のことなので(笑)、全力投球をした後にゆっくり考えたいと思います。

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2014年も、この笑顔で日本経済を引っ張ってほしいと願う(尊徳)