2016年7月の参議院選で解禁される”18歳選挙権”。実は海外と比べるとかなり後進だ。「シルバー民主主義が変わるかも」、「経験が乏しくて判断できないのでは?」と大人はいろいろ言うが、日本では20代の投票率が32.58%(2014年12月衆議院選)と低く、今回から参加する18、19歳の影響力も未知数。当事者たちはどう思っているのか、尊徳編集長と座談会をしてもらった。
▲年代別に見る投票率の推移
【座談会メンバー】
中央大学法学部法律学科1年
上原瑞樹 うえはらみずき
東京経済大学コミュニケーション学部2年
中津川 実希 なかつがわ みき
中央大学法学部政治学科2年
廣野真紀子 ひろのまきこ
立教大学心理学部2年
松浦夏乃 まつうらなつの
尊徳 皆さん、この夏の参議院選挙は投票に行きますか?
上原 行きます!
廣野 私は行こうと思っています。ただ、自分がどんな基準で政党を選ぶか、7月までに決められるのかなって。でも、私より年下の18歳が行くのだから自分は行くべきかなと考えています。
松浦 私は今19歳ですが、18歳の高校生だったら確実に行かなかったと思います。今回も、初めてでわからないから様子見にしてしまうかも。
中津川 私は、行くか行かないか半々な気持ちでいます。単純に選挙への興味はあって参加したいのですが、どうやって投票先を決めればいいのかわからないです。
松浦 消費税が10%になったら嫌だな、とは思うけど、だから投票に行こう、とはなりません。そもそもなぜ10%になるのかもよくわかってないし。自分から探せば情報は得られると思うけど、ファッションとかグルメとかそういうことのほうが大事。
尊徳 そっか(笑)。友達と政治を話題にすることはある?
廣野 私は大学の政治サークルに入っていますが、それ以外の友達と話すことはないですね。
上原 学校で政治のことを話すと”意識高い系”って思われて変人扱いされてしまう。その偏見がなくなれば話したいですけど。高校までの社会科って暗記ばかりで、”生の政治”を学びません。それも政治が浸透していない原因だと思います。
尊徳 例えば、被選挙権の年齢も引き下げられて、同世代が立候補したらどうかな?
廣野 同世代だったら関心を持つと思います。
中津川 私も興味がわくと思います。自分がツイッターで「投票行ってきたー」って軽いノリでつぶやいて友達に伝えるのも、第一歩じゃないかなって。
廣野 ツイッターって有効かも。ロンブーの淳さんが政治の話題を結構つぶやいていて、それを読んで意外と政治って難しくないんだなって思ったんです。
尊徳 みんな、子どもの頃から学級委員や生徒会の選挙の経験ない? 立候補者の話を聞いて、投票したでしょう? それとまったく同じことをただ単に国という規模でやっているだけ。君たちの好きな服の値段だって、税金を決める政治がかかわってるし、本当は身近なんだよ。
上原 僕は親に大学の学費を聞いて衝撃を受けて。それで奨学金を借りるって言ったら「金利が高いからやめとけ」って言われ……。そのとき、勉強するのにお金がいるなんてありえないと思いました。これも僕たち若者が一人でも多く投票に行けば変わるのでしょうか?
尊徳 変わるかもしれないよ。不平不満の声を持っているなら、外に出さないと何も動かない。その気持ちを放棄するなら、決められたことに従うだけだから。
松浦 不平不満を持つことが政治に対する興味につながるってこと……? でも、自分の一票で何かが変わるとは……。
中津川 私も思わないです。
尊徳 集団的自衛権はどう思った?
中津川 池上彰さんの番組で説明を聞いてよくわかりました。だから可決されたとき、最悪の場合、戦争になったらどうしようって。
尊徳 若者たちが声を上げたSEALDsがやってたデモって賛否はあるかもしれないけど、実際それで人もメディアも、国会も動いた。集団的自衛権=怖いことだって思わせることができたわけ。でも結局、可決したということは、どんなに心で反対していようと、与党を選んだ国民が認めたということになってしまうんだよ。
上原 実際に不利益を被らないと、自分が選んだとは思わないかもしれません。
尊徳 そうだよね。日本でテロが起こらないとわからない。
上原 でもそうなると、それこそ投票に行かなくなるかも。自分で選んだら責任が発生するけど、選ばなかったら大人のせいにできるから。
尊徳 でも、君はもう選挙権を持つ”大人”に入るからね。
上原 あぁ……そっか。
尊徳 みんなは今、不満は無い?
一同 ……(熟考)。
尊徳 不満がすぐ出てこないのが、日本が平和な証拠だよね(笑)。
中津川 でも、私は国会でも話題になったブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」は、その通りだなって思いました。将来、自分が親になったときに子どもを預ける場所があるのかなって不安になります。
尊徳 あのブログは、たった一人の行動が政治を動したという例ではあるけれど、どうしても今の政治は、より投票率の高い60~70歳代に寄った政策をとってしまう。何か変えたいと思うのならば、自分たちで声を上げ、世代の投票率を高めるしかないんだよ。
廣野 次の参院選、ちゃんと自分で決めて投票できるように、関心を持ちたいですね。
松浦 これまでは知らないことだらけで不安だったんです。でも、すごく身近なことなんだなって思いました。
上原 僕も、これまでは遠い存在だと思っていたけど、自分ごとに置き換えたら興味持てそうです。
中津川 スキャンダルで騒がれる政治家も、結局選んでるのは国民なんですよね。私たちの一票って、それなりに重いのかもしれません。
松浦 んー……やっぱり次の参院選の投票、様子見にしないで、行こうかな。