政治オタクへの道を進み始めた”あすぽん”こと岸明日香。取材先を考えていると、あすぽんは国会議事堂に行ったことがないとのこと。それどころか、国会でやっていることもいまいちわかってない様子。ということで、聖地巡礼の意味も込めて永田町に突撃取材!
【side A】Report 「国会議事堂に行ってきました!」
唯一の立法機関がある国会議事堂は、薄暗くて厳かな雰囲気。とにかく豪華な造りです。
この日は本会議があって、総理から1回生まで勢ぞろいした議場は壮観! 採決している間もずっとザワザワしてて、想像とはちょっと違いましたね。全部反対する共産党の方が印象的でした(笑)。
議員の皆さん、真剣に議論して良い法律作ってくださいね!
【side B】Lecture あすぽん×尊徳編集長 国の最高機関のゆるさに衝撃走る
岸 本会議場に一回生から順にずら~っと並んでいる風景とか、採決のときの空気感とか、テレビ見てるときは『なんか会議してる』ぐらいにしか思っていなかったので、ちょっと衝撃的でした。
尊徳 本会議の印象はどうだった?
岸 今日は採決だったので、野次が飛びかっているのかと思っていたのですが、皆さん、ホイのホイみたいな感じで(笑)。
尊徳 あれが法律を作っている国の最高機関なわけじゃない? そう思ったらどう見えた?
岸 なんか議員の人たち、ちゃんと話を聞いてなかった(笑)。あれって、挙げられている法案は、ほぼ可決されるんですよね?
尊徳 そうだね。委員会というところですでに審議したものだからね。
岸 あんなあっという間に……といっても時間かけて審議しているとは思うんですが、知らない間にたくさんの法律が決まっているんだと思うと、かなりビックリですよね。年間どのくらい作るんですか?
尊徳 今回見た細かい法案なんてのは、もう年間数百本とか作る。全
員が集まる本会議で一つひとつの法案を議論してても決まらないから、専門的な部分を担当している省庁がまず法案を作って、委員会で国会議員たちと議論して詰めておくんだ。採択はセレモニーみたいなものだね。
岸 細かい法案の採決でも、右側に座ってた共産党の人が全部反対しているのが印象的でした。
尊徳 共産党は自民党が与党やっていたらほぼ反対なの。基本的な考え方が違うからね。でも与党は全部賛成するから法律は決まっていく。
やっぱり数の力だからね、政治は。今日も見たでしょ、自民党が圧倒的に多いわけで、公明党入れた与党は325議席、全体の3分の2を持ってる。
岸 野党は肩身狭いですよね。
尊徳 議席数が半分以下の野党は、基本的に自分たちの意見が何も通らない。逆に与党は、やろうと思えば好き勝手にできる。ただ、それだと国民が怒るから、野党はちゃんと与党を監視していないといけないんだけどね。
岸 へ~。
尊徳 「へ~」じゃないよ(笑)。国会は国の権力の最高峰に位置していて、法律はここでしか作らないからさ、国民もちゃんと見てなきゃいけないんだよ。
岸 はい……!
法案は誰が作っている?
岸 そもそも法案って誰が作るんですか?
尊徳 議員が発議する議員立法っていうのもあるけど、多くは行政機関である省庁が作っている。例えば医療事故が起きたとして、「労働時間が長くて、看護士が疲弊しているから事故が起きるのではないか」と考えたら、厚生労働省が、労働法制の時間に対する法案を作るといった感じ。
官僚が集まった省庁は知識があっても法律は作れないし、国会議員一人では法案を作れないから、一緒にやるのよ。
岸 でも編集長、「立法」と「行政」は三権分立で分かれてましたよね。行政府の下にある省庁が法案を作るのはおかしくないですか?
尊徳 日本における「立法」は、法案を審議して成立させるという意味でとらえるべきだね。だから”案”を作るのは議員も行政もどっちもできる。
ただし、国会で審議されるためには、「法制局」による厳しい審査を通過しなければならない。でも、行政側をチェックする内閣法制局長官は内閣が指名するから、そのときの内閣によって解釈が変わる可能性があることは問題なんだけど……。
岸 法案自体は省庁が作ることが多くて、それを法制局でチェックした上で、議員の方や政府が国会に提出して、議会で多数決する……と。なんとなくわかってきました。
尊徳 そう、法律を決めるのは最終的に多数決。だから、総理大臣が良いと言っても、ほかのみんなが反対すればダメなわけ。
岸 そっか、総理大臣の票も一票で平等なのか。
尊徳 その代わり、総理大臣はいろんな権限があるから、できることはたくさんあるんだけど。
世の中が変われば法律も変わる
尊徳 ちなみに今回は何の法律を採決したんだっけ?
岸 一つは離婚後、再婚までの期間が180日間なければいけなかったのが、100日に変更になった法案です。
尊徳 再婚禁止期間の見直しね。昔より離婚・再婚が増えているし、DNA鑑定とかもあるから、今の世の中に合わせて改定したんだ。民法っていうのは、もともと明治時代に作られたものだから、男尊女卑で男のほうが圧倒的に有利にできてる。昔は女性に参政権がなかったからさ。そういうこともあって、男は明日にでも次の結婚ができるんだよね。
岸 ずるい(笑)。
尊徳 国会議員が全員その法案に詳しいわけではなくて、省庁が社会情勢を見ながらいろんな問題を吸い上げていて、必要と思った法案を国会議員に挙げているわけ。だから、基本的には大体全会一致で決まるもので、安保法案みたいに「賛成!」「反対!」と真っ向からぶつかるのはごくごく稀。
岸 行く前よりもだいぶ理解できてきました! そう考えると、選挙で投票するときの気持ちが変わってくるというか、もっと真剣に、この人に託していいのかを考えて投票しないとなと思いました。
尊徳 選ぶ方のレベルが上がれば、国会議員のレベルも上がるしね。
岸 こういう小さな法律を含めて、日本の法律って全部でいくつぐらいあるんですか?
尊徳 法律は2000くらいだけど、政令とか細かいのを入れると7000ぐらいかな。
岸 え~~~っ(笑)! それだけあったら、法律を全部把握している人なんていませんよね。
尊徳 そんなの法律家しかいない。会社を起こしたり、何かしようとするといろいろ法律の壁にぶつかるよ……。日本で起こり得るすべての事象に法律が適用されるからね。
岸 でも、普段生活してて法律を感じることはほぼない(笑)。
尊徳 さて、今回は立法の現場を取材したけど、国会議事堂はどんな場所だったかな。
岸 日本のすべてを決める場所。それこそ私、憲法と法律の違いもちょっとあやふやだったので……とても勉強になりました!
【覚えたこと】 国会議事堂は……日本のすべてを決める場所
議員や政府、省庁が作った法案を審議して採決するのが国会。最終的には多数決で決めるから、与党の思いのまま! 野党の人たち、頑張ってな~。