世間を大きく騒がせた&ネットで話題になった企業不祥事をピックアップ。問題発覚から一連の報道、決着するまでの流れに、良くも悪くもその企業のなんたるかが見えてくる。不祥事の後、倒産した企業も復活した企業もあるが、中には「知らない方がよかった…」と思うものもあるかもしれない。心して読んでほしい。
企業不祥事の本質は”間違える”ということにある
世の中には、好き好んでミスを起こす企業は存在しない。ある企業はそれが最善の方法だと信じつつ大きな過ちを犯し、また、ある企業は社内論理にとらわれるあまり、世間の常識や法律と大きくかけ離れたことをしでかしてしまう。判断ミス、世論を見誤る、責任逃れの言い訳のような釈明……このような”過ち”が積み重なったものこそが、企業不祥事なのだ。
では、このような”間違える企業”にならならいためにはどうすべきか。それは、ドラッカーが残した「コミュニケーションとは組織の在り方そのものである」というあまりに有名な言葉に集約される。
よく誤解をしている人がいるが、これは社内コミュニケーションが大事だとか、組織内の風通しの良さが大事だとかいう類の話ではない。ここで言う”コミュニケーション”とは、組織の外、つまり社会とつながりを持ち、学習とフィードバックを通して、己を振り返り、改めていくという行為なのだ。
社会無くして企業は存在しないが、コミュニケーションが無い企業はその本質を忘れ去っていく。では、忘れた企業はどうなるかというと、”われこそが社会”と錯覚してしまうのだ。こうなってしまうと、その中で生きる者は本当の社会と大きくかけ離れた思考となる。
具体的には、企業内論理や企業の存続で頭がいっぱいで、多少の不正や隠蔽も、企業を守るためには致し方ないという強迫観念にも似た思いにとらわれるのだ。もうおわかりだろう、このミニ社会化した組織というものこそが、いわゆる不祥事企業になっていくのだ。
この真理を理解してもらうため、”間違える企業”として日本中から注目を集め、歴史に名を残す11社をピックアップし、【異物混入・食中毒・食品偽装】【データ改ざん】【粉飾決算・不正会計・不正取引】の3つのカテゴリーに分けて紹介したい。業種もバラバラ、不祥事の中身もさまざまだが、これらの企業に共通しているのは、”社会の一員”という感覚が著しく希薄となっており、”企業こそが社会”という間違った考えにとらわれしまっている点だ。
コミュニケーションが欠落した企業がいかに閉鎖的な組織となり、常識とかけ離れた行動をとるのかというポイントに着目し、ご覧になっていただきたい。